銀→青(短)
□02
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ある夜、メフィストは翼の部屋に来ていた。
カチャ
「……」
見て何も言わないのは、寝ている翼の上に布団がないから。
「全く、どうしてこうも寝相が悪いんだ」
ぶつくさ言うが、それでも綺麗に直してあげる。その間、翼は起きる気配がない。
翼は警戒心が強い方なのだが、メフィストだけには反応することがなくなった。
そのため今も、目を覚ましてメフィストに刀を向けることはない。
「よし、これで完了」
無事整えば、メフィストは翼を見る。
『スー』
「……はぁ」
思わずため息が出る。しかし、そうでながらも頭を撫でてしまうのは、一体どのような心情からか。
「あ、忘れていた。洗濯回さなければ……それに、テーブルの上のチョコの余りはあったか?」
やることを一気に思い出し、いそいそと部屋を出るメフィスト。だが、ドアを閉めたところでピタリと止まり、思い思いに一言呟く。
「……まるで母親だな……」
そしてもう一度息をつき、洗濯物を集めたのだった。
『メフィストさんって、面倒見が本当に良いですね!』
「……」
翼にそう言われたのは、その翌日の話。