銀→青(短)

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ある夜、メフィストは翼の部屋に来ていた。


カチャ


「……」


見て何も言わないのは、寝ている翼の上に布団がないから。


「全く、どうしてこうも寝相が悪いんだ」


ぶつくさ言うが、それでも綺麗に直してあげる。その間、翼は起きる気配がない。


翼は警戒心が強い方なのだが、メフィストだけには反応することがなくなった。


そのため今も、目を覚ましてメフィストに刀を向けることはない。


「よし、これで完了」


無事整えば、メフィストは翼を見る。


『スー』


「……はぁ」


思わずため息が出る。しかし、そうでながらも頭を撫でてしまうのは、一体どのような心情からか。


「あ、忘れていた。洗濯回さなければ……それに、テーブルの上のチョコの余りはあったか?」


やることを一気に思い出し、いそいそと部屋を出るメフィスト。だが、ドアを閉めたところでピタリと止まり、思い思いに一言呟く。



「……まるで母親だな……」



そしてもう一度息をつき、洗濯物を集めたのだった。





『メフィストさんって、面倒見が本当に良いですね!』


「……」


翼にそう言われたのは、その翌日の話。

 
 

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