銀→青
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翼の元気をつけようと、執り行われた食事会。その甲斐あって翼は笑顔を取り戻したのだが、それもつかの間。今では、再び雰囲気暗きが醸し出されている。
「あ、の……翼さん?」
力足らずだっただろうか。それならばどうすれば良いか。
頭の中で様々なことを考えながらも、雪男は翼に声を掛ける。だが……
『……ふふ』
「え?」
返ってきたのは意外な声だった。
『あ、すみません』
クツクツと、笑いを押し殺して笑う翼。二人は案の定疑問を抱いた。何か気に病んでいたのではないとしたら……何が……?
『本当、すみません。燐さんの行動が……その、似てたので』
眉を下げて笑う翼に、雪男よりも早く燐がピンッと来る。
「あ、上司か! そういや俺、あんまその話聞いたことねんだよなー。翼、話してくれよ。
なぁ、雪男?」
「うん、そうだね。翼さん、話してもらえますか?」
思い掛けぬ二人の懇願。翼は戸惑うも、どうやら抜け出すことは不可能なようだ。翼もコクリと頷き、昔を思い出しながら語りはじめた――。
『昔……って言っても一年も経っていないんですが、真選組屯所に、一人の綺麗な女性が訪ねていらっしゃいました。
一番隊隊長沖田総悟、すなわち我が弟の様子を見るために。
お姉さんの名前はミツバさんと言って、容姿端麗な方でした』