銀→青
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キィ
朝、まだ日が明けきらないそのような早朝。翼はもう隊服に着替え終わっていた。
『……』
時計を見れば5時。今日は少し遅くなっただろうかと思えば、愛刀を持って部屋を出る。
『! ……』
部屋を出た直後、翼はある方向を見て驚く。しかし、冷静になり辺りを見回し、手頃な毛布らしき物を取り出した。
『……』
それをソロソロと掛けてやれば、翼は微笑む。そして、最後まで何も喋らず部屋を出ればそこにはある者だけがいる空間となった。
その者は、誰もいない部屋でムクリと起きる。
「全く……翼は”おはよう”の一つもないのか?」
言わずもがな、メフィストだ。
実は、メフィストはずっと起きていたが、翼が起きた感覚を察知すれば途端に寝たふりを決め込んだのだった。
もちろん、どのような反応をするか楽しむため……である。
しかし翼は、メフィストの想像を裏切りいたって普通。
言葉をかける優しさよりも、起こさまいとする気使いの方が相手のことを考えている……
ということは分かっている。
しかしメフィストは、やはり変わった反応をしてくれなければ面白くないと、煮え切らない気持ちのまま窓の外に目を向けるのだった。