PP×戯言
□七章
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「宜野座、帰ったか」
「あぁ」
「どうだった」
「あの時と同じだ」
「ふっ、そうか。そりゃ大変だったな。ご苦労さん」
「……事件は」
どうなった
良い加減和音の話から抜け出したかった宜野座は、現場へ戻って早々事件について尋ねる。すると狡噛は、どうもこうもと肩をあげた。
「狂気も指紋も手がかりはゼロだ。その点に関しては今までのバラバラ事件と酷似しているが、早見の言うように切(斬)り口だけが今までと違って不自然だ。追うならその点だな」
「……そうか」
どうやらあの狡噛さえも手を焼いているらしく、宜野座が席を外したあの時から捜査が進んでいなかった。これは早見に任せるのではなく一係全員で当たるべきかと、宜野座は考える。
と、そこへ和音。
『そう言えば、目撃者を帰したのですか?』
「あぁ、あの後すぐな」
『……そうですか。帰しても良かったのですか?』
「あぁ、構わない。第一発見者が容疑者ということもよくあるからな。ドローンに奴の顔を登録させた。今頃唐之杜の元へ情報がいってるさ」
『……そうですか』
それは鬼相手にも有効な手段ですか?と尋ねたかったが、こんなに楽しそうな狡噛に水を指すわけにはいかない。和音はさすがです、と無意味な言葉を狡噛に捧げその場を後にした。向かった先は、死体が転がっていた場所。
『……』
血だらけの場所。
そこに倒れていた人は、つい先ほど自分と話していた人。知り合いでも何でもないが、対面はある。
そして忠告した。
零崎に関わると禄なことにはならない、と。
和音はぐるりと血だらけの地面を見る。そしてため息を一つ。まるで、言わんこっちゃない、と言わんばかりに――
『どうだ、このザマだ』
その言い草は、どう聞いても死人を弔っているようには聞こえなかったのだった。