鋼→青
□08
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「それで」
『はいはい』
「これから質問に答えていただくわけなのですが……」
『へーい』
「なんですか、その格好は!!」
説明すると――
「これがオートメイルだぜィ!!」と言ったは良いが、それをするには上着やら何やらを脱がなくてはならなかったわけで。
つまり、ステラは今上半身下着のみで二人と向かい合っているのである。
『なに? こんなことでタコになってんの? 初だねぇ〜』
若干のドヤ顔を行使しながら、ステラは脱いだものを着て行く。その途中、
「それを見せたいならタンクトップを脱ぐ必要はないでしょう!」と雪男に突っ込まれ不覚にも納得してしまったのは内緒である。
『で? なんか血眼で私を探ろうとしてたみたいだけど……』
「え、あ……まぁ……」
どこか出鼻をくじかれたのはこの際気にせず、雪男は横で今だ固まっている燐を無視して本題に移る。
「お聞きしたいのはその腕のこともありますが――それを含めたあなた自身です」
『……へぇ』
「なにか?」
『いや』
シニカルに笑うステラに、平常心で応対する雪男。何か試されているのだろうかと思ったが、ステラがどこか楽しそうなのでどうせつまらないことだと心の中で踏む。
するとそれは当たりでもなく、かといって外れでもなく――
『いや、おおっぴろまに話すんだね。てっきりオブラートに包んで話すかと思った』
「えらく信用されてないですね、僕は」
『いえいえ、それほどでも。
でも話すよ。あれ、でも……』
「?」
『これ、嘘だから。義手じゃないからね』
「は?」
「えぇ!?」
パカンと言ってとれたのは、先程意気揚々と見せたオートメイル。それを腕からスッポリ外せば、「ウィンリィの失敗作貰ってて良かった」などと、まるで玩具を持つ子供のようにそれを弄んだ。
当然、二人は鳩が豆鉄砲を喰らったようになる。
「ステラ!? お前その手偽物だったのか!?」
燐が目が落ちんばかりに叫べば、ステラは『偽物もなにも』と苦笑する。
『私の腕はきちんとついてるよ。これはその、まぁ……体験しとこうかなってことで始めたんだよ』
「鎧をつけることをそんなに気軽に始められるのですか、あなたは」
『ん、まぁね』
内心、気軽なわけないよね、なんて気落ちするも今二人にそれを言うのは芳しくない。雪男が自分のことを探ろうとしているのは明らかだし、燐は何も心配ないが話せば余計なことはしかねない。
故にステラは、ここは知らぬ存ぜぬを突き通そうと決めたのだった。
『それでさぁ』
「なんでしょう?」
『私さっき全部話したよね?
他に何を聞きたいの?』
「あれが全部で?」
『そうね。うん――
後は私のスリーサイズぐらい?』
「……聞きましょ、」
「雪男////!!!!」
それで何の話?
(あなた達に話すべき内容は、全部話したつもりです)