鋼→青
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人は心に夢を見る。
どんな時だって、夢を見る。
きっと私だって、そうなのだろう――
『こっちの準備はオッケーだよー!』
「よし! じゃ、いくぜ!!」
人が夢を見てはいけない、なんて法律はない。
そして、見たくないのなら見なくていいという緩和がある。
「いっ」
『せー』
「のー」
「『「せ!!」』」
しかし、そんな緩和こそが、思わず縋りたくなる儚い¨夢¨に過ぎない。なぜなら、夢は見せられれば逃れられないから――
『やったあ!』
「成功だね!」
「いや……ちょっと、待て……ッ!」
夢を見たくない。
私はもう夢なんて、これっぽっちも見たくないんだ。
それが例え一秒でも、
一瞬でも――
『うわあああぁ!!!!』
「うお!? おま、ビックリすんだろ! 起きるならもう少し静かに起きろよ!」
『ハァ、ハァ……』
「ちょ、大丈夫か? ひょっとして、どこか調子悪いのか!?」
『え…………ぁ、いや……。
なんでもない。驚かせてごめんね、燐』
「///! いや、大丈夫だけどよ……調子悪いじゃないならどうしたんだよ」
『うん……ちょっと……
嫌なものを、ね』
夢を見た
(仰ぎる見る輝きだけが夢ではない)
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