鋼→青
□04
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『ん……』
「「「「!?」」」」
ステラが一声上げただけで、その場にいる生徒は体が動く。驚き過ぎて肩が跳ねたのだ。
だが、そのことについてからかう者は誰もいない。もちろんあの燐だって、勝呂を茶化すことをしなかった。
つまりそれほど真剣に、全員がステラに注目していたのだ。
が、一方のステラはというと――
『……ハァ……気持ち悪……』
起きた直後の無気力感と血が激しく廻っているその血管のせわしなさに、若干の気持ち悪さを覚えていた。
『いつもと違う……いつもは、もっと楽なのに……』
ここまでに至った経緯を忘れているのか、ステラは額に手の甲を置く。
また、顔に影が出来ることで気分が違うのか、ステラは再び『ハァ』と息をついた。
しかしその時。見ているだけの観衆の中から、雪男が抜きん出る。そして診断書片手に、ステラの横へと立った。
カツ
『……』
だが、靴音を鳴らせてもステラは無言のまま反応しない。無視をしているのか或は、本当に気づいていないのか。
もし後者だとすれば、早いうちに何かしらの処置をしてやる必要がある。そのため、雪男は顔を近づけ、問診を始めた。
しかし……
「調子はどうですか?」
『……』
ステラは何の反応も、示さないのだった。
あの距離で聞こえないはずがないと雪男は分かっていたため、こちらも黙って対応する。そしてここから、二人の我慢比べが始まったのである。
と、思ったのだが――
ガバッ
『あ〜もう、分かった分かった!
兎の肝でも蛙の肝でも、取り合えずレバーを何でも食べればいいんでしょ!』
「……」
意外にも、決着はすんなり着いたのであった。