銀→青
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と、その時。
「〜!」
少し遠くでだが、確かに声が聞こえた。
『……前?』
翼は今更だが、自分のいる場所を確認した。
見ればここはどこかの部屋のようで、屯所と同じような材質だった。
しかし、屯所よりも若干背の高い机がある。それに、机とセットになっているあれの存在も気になった。
『銀ちゃんとこの机と……分離されたソファー?』
”椅子”という存在が不確かなものであるため、翼は首を傾げる。
だが、その不確かなものはこの部屋にたくさんあり、今膝をつけて座っている翼の姿をすっぽりと隠していた。
『人がいるようだけど……誰だろう?』
そして、先程聞こえた声を確認しようと、片膝を立てて前を見た瞬間――
『!?』
翼の目つきが変わった。
腰に差してある刀をギュッと握ったかと思えば、翼はもうその場にいなかったのであった。