銀→青

□35
9ページ/13ページ



「おいピエロ。どーゆーことだよ……何でせっかく元の世界の人に会えたのに、それが敵なんだよっ」


語気を強める燐に、メフィストは「私にあたらないでください」と極めて穏便にすます。


「向こうの世界のことまで把握してませんよ、私は」


「じゃぁ、何で……あんまりだろっ。これじゃぁ、翼がかわいそーだっ」


「可哀相、ですか」


メフィストの言い方が無感情に聞こえた燐。再び舌打ちをして、後はもう何も喋らなかった。


しかし、メフィストは勝手に続ける。自分の考えながらも、的確に事実に基づいているその考えを。


「”可哀相”は、どんどん現実に甘くなっていく翼にも当て嵌まります。


翼のお腹、見たことありますか? 以前翼から見せてくれたことがあったのですが、そこには真一文字の刀傷がありました」


「!?」


「私の率直な感想、よくその傷で生き延びることが出来たな、ということです。


聞けば、町をパトロールしている時に複数の敵に不意を突かれたとか。……ここには、そんな危険はありませんからねぇ」


メフィストの言葉を、燐は必死に考える。すると、ある一つの考えが浮かんだのだった。


メフィストは更に続ける。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ