銀→青
□35
5ページ/13ページ
予想していなかったため、一同は目を見開き驚く。もちろんメフィストも、このようなケースは初めてだったため、驚いた。
そして空気までもが固まっている中、万斉は悠々と口を開く。背中に右手を移動させながら。
「言い方が間違ってるでござる。こいつら、ではなく”鬼兵隊”でござる。
しかし、”敵”というのは……」
『!?』
ガギンッ
「正解でござるな」
右手が伸びた先には、仕込み刀。それを瞬時に引き抜くと、軽い身のこなしで翼の前へと立った。
一方の翼は、いつもの愛刀を抜いている暇はなかったので、懐に隠している短刀て応戦する。
「さすが真選組副長補佐、と言ったところでござるか」
カチャカチャ
『兼、一番隊副隊長よ』
カチャカチャ
翼は睨み返す。だが、それは万斉も同じことだった。それによく見れば、万斉の瞳がサングラスの奥で妙に光って見える。
それはまるで、何かを見つけて興奮している捕食者かのよう――。
カチャカチャ
「では、訂正するでござる。
副長補佐兼一番隊副隊長、神崎翼殿。主はそれほどの名を持っていながら、」
カチャカチャ
「なぜ、震えているのでござるか?」
『っ!!』
カチャカチャ……
先程から鳴り響くこの金属音。それは、両者の力がぶつかり合って鳴っているものではない。
それは、翼が心の奥底で感じる”恐怖心”……
自身では止めることの出来ない、”震え”だったのだ。