銀→青
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「だが、こうは言ってた。
”腹に致命傷を与えることは出来た”ってな」
「「『!?』」」
翼も、そしてメフィストも燐も驚く。後者二人にしては、今その話をしていたばかりなのだから、余計に驚きだ。
しかし、本当の驚きはこれからだった――。
「なぁ、副長補佐さんよぉ」
『……何』
「俺にその傷、」
『ッ!?』
「見せちゃくれねーか」
ドスッ
翼は前を見る。するとそこには紫と黄の二色が見える。かと思えば肌色がちらつき……
しかし目線を下げると、まだ新しい色があった。それは綺麗なようで、澄んでいるようで、
『……っく!』
濁って濃い、赤い色。
「翼!!」
燐は叫ぶ。そして木刀を振りかざしながら、高杉に向かって行った。
カンッ
「……」
「何で刺したりなんかするんだ!!?」
燐の怒声に、高杉は興味がないと言わんばかりにあしらう。
「こいつを生かしておけば、俺の仲間がやられる。だったら、殺すまでよ」
『ぅ、ゲホッ!』
高杉の手には、翼の血が滴っている。翼の腹からは、古傷の上から更に新しい刺し傷が出来ていた。
痛みもあるが、血が内部から沸き上がり、翼は吐血する。量はそれほどでもないが、歪む顔はかなり辛そうだ。