銀→青

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「ここへ来て翼は、確かに幾度となく戦いましたし、それこそ危ない目にもあってきました。


しかし、それでは足りなかった。


私といる時でさえ刀を持った人物が入って来るでもしない限り、翼は普通の15歳へと近づいてしまうのです」


「……」


「今まで何を見ても物おじしなかったのは、今まで翼がしてきた”経験”が深く根付いていたからです。


それ同等か、もしくはそれ以上のことを翼はここに来る前に経験したのでしょう。だから、ある程度のことに免疫がついていた」


そこまで言ったところで、燐は口を挟む。


「じゃぁ、その時のことを思い出せばいんじゃねぇかっ」


が、あまりにも端的な考え過ぎるため、メフィストはジトリと燐を見た。


「一度薄れてしまえば、取り戻すのはなかなか難しいものですよ。あなたの剣と同じです☆」


何気に痛いところをつくメフィストに、燐は「うるせーこんな時にっ」と叱責する。


と同時に、今自分が抱えられている不安を、半分以上でもピエロにあげることが出来たら、とも悔やんだ。


そして一通りのことを考えれば再び、翼の方へと目を向ける。


そこはまだ、緊張状態が続いていた。



「真選組の副長補佐っていやぁ、鬼兵隊でも一目置かれてるんだぜ?



そういやぁ、いつか始末するように言ったことがあるが……まぁ、ここに本人がいるってことは失敗したんだろ」



スッと、高杉の瞳は翼を捉えた。


 
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