Long Dream

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「……」


「……」


傀儡の部品がぶつかり合う音がする。



ここに連れてこられて早二日。

私はこの部屋から一歩も外に出ていない。


「……」


「……」


いわゆる軟禁状態というやつです。


……確かに翼を怪我して帰れない状況でありますが……私だって外が恋しいのです。

というわけで……


名無しさんはベッドの上で仁王立ちになり、サソリに向かって言った。


「人間!いい加減私をここから出しなさい!」


「あ?」


「ひっ!ご、ごめんなさい!」


名無しさんの言葉に顔をこちらに向けたサソリ。その目の鋭さに名無しさんは体を丸め、小さく座り込んだ。


「……」


「……」


「……言い直すチャンスをやる」


「……お外に出たいでございます」


「駄目だ」


「……」


勇気を振り絞った名無しさんの言葉は一刀両断にされた。


「……」


「……」


しばらく無言の睨み合いが続いた。


「どうして駄目なの?」


「……」


黙り込み、質問に答えようとしないサソリに名無しさんは頬を膨らませる。
そしてベッドから下り、立ち上がった。


「もう我慢の限界!私はここから出る!」


「……本気か?」


眉をひそめるサソリに気づかず、名無しさんは続けて言った。


「当たり前!むしろ二日我慢した自分を拍手してあげたいよ!」


「……そうか」


堂々と答え、まだ痛む翼を広げる名無しさんにサソリはため息をつく。


そして、素早い動きで名無しさんの後ろに立った。


「っ!」


突然の出来事についていけず、名無しさんは固まる。

すると、腕に重いものがのしかかった。
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