長編U
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「……」
サソリがムスッとしてる。
理由は分かってる。
でも、私は何も言わない。
だって……私も怒ってるもの!
「……」
「……」
「……部屋に帰って喧嘩してくれないかい?うん」
リビングのソファの右端と左端に座っている名無しさんとサソリにデイダラがうなだれる。
「……サソリが一人で帰ればいいと思う」
「お前が部屋に帰れば万事解決だ」
頬をふくらませる名無しさんにサソリは眉をひそめる。
そして名無しさんの手を掴もうとする。
しかし、名無しさんはその手を振り払った。
「……」
「……」
「……おいら、帰ってもいいか?」
険悪な二人の雰囲気に耐えられなくなったデイダラはため息をつく。
「駄目。デイダラ行っちゃったらサソリに対抗できないじゃん」
名無しさんの言葉にデイダラは再びため息をつく。
何だかんだ言っても同じソファに座っている名無しさんとサソリの旦那。
そして、力ずくで名無しさんを連れていけるはずのサソリの旦那は何もしない。
……仲直りは近いだろう
デイダラはそう思いながら早くその時が来るのを切に願っていた。