短編

□幸せな時間
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「ふっふふー!」


鼻歌を歌いながら歩く名無しさん。


どこからどう見てもご機嫌だ。


「おいガキ、もっと離れて歩け。知り合いだと思われるだろ」


「え!?知り合い以前に恋人同士だよね!?」


サソリの冷たい態度に驚く名無しさん。


今日は久しぶりのデートだった。


いつもいつも放置され続けていた名無しさんだったが、やっとサソリが出かける気になってくれたのだった。



「ちっ。デートしてくれなきゃ家出するとか言ってわめきやがって」


「彼女の可愛い頼みじゃん」


「可愛く頼めよな……」


ため息をつくサソリに名無しさんは笑う。


「そういえばどこ行くの?」


「お前が楽しめる場所だ」


「本当!?」


何だかんだ言って優しいサソリに名無しさんは頬を緩ませる。


「気持ち悪いぞ」


「ひ、酷い……」



しばらくすると目的地に着いたようでサソリはある場所の前で立ち止まる。

そこは……


「……サソリ?」


「ほら、行ってこい」


「馬鹿にしてるでしょ!」



――公園だった
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