長編
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「イタチ。入るよ?」
ノックをして部屋に入る名無しさん。
部屋にはぼーっとベッドに座っているイタチの姿があった。
「イタチ?」
名無しさんはイタチに近づく。するとようやくイタチは名無しさんの存在に気がついたようだった。
「名無しさんか。どうした?」
「ごはんが出来たから呼びに来たんだよ」
「そうか……」
元気のない様子のイタチを見て名無しさんは言わないでおこうと思っていたことをイタチの耳元で囁いた。
「名無しさんっ!?それは」
にっこりと笑う名無しさんを驚いた顔で見つめるイタチ。
――サスケなら大丈夫だよ。綱手様が治してくれるから
「確かな情報だから安心して」
「しかし……」
「信じて」
名無しさんの真剣な目にイタチは名無しさんの言葉を信じてみることにした。
「すまない」
ほんの少し笑うイタチを見て名無しさんは言葉に詰まった。
サスケに関する情報で一つ黙っていることがあったからだ。
……里ぬけ
さすがにこれは情報レベルじゃない
それにこれは凄く大きな出来事
言えない……
「じゃあ、私は他の人を呼びに行ってくるから」
イタチに背中を向けてドアへ向かう名無しさん。
「ああ、すぐ行く」
名無しさんはイタチの部屋を出て行った。