長編

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「おせぇ……」

サソリは突然立ち止まり、名無しさんを睨む。


確かに名無しさんはサソリから少し離れて歩いている。

もちろん意図的なのだが……。

サソリがあまりにも睨むので名無しさんはしぶしぶサソリの横へと走った。

「……サソリ。どうして私があそこにいるって分かったの?」

名無しさんは先程から感じていた疑問を投げかけてみた。

「……デイダラが妙に嬉しそうにお前が逃げたと言ってきたからな。ちょっと問い詰めただけだ」


デイダラ……やっぱり無理だったみたいだね。

「ちっ。ガキのくせに調子に乗りやがって。まぁ、もうしねぇだろが……」


しかも仕返しどころか返り討ちにあったのね……


にやりと笑うサソリの顔にデイダラの今が見えるようだった。

デイダラどんまい……


「お前……何か忘れてねぇか?」

「え?」


「俺は『逃げるなよ?』と言ったはずだが?」

サソリは凄い顔で名無しさんを睨みつけている。

どうやらデイダラの心配をしている余裕はないみたいです……


「説教はアジトに戻ってからだ」

「はい……」


その後から名無しさんの足取りが重くなったのは気のせいではないはず……。
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