長編
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数時間後、名無しさんは目覚めた。
体は疲れていたがいろんなことがありすぎて目が冴えてしまう。
「外にでも行こっかな……」
とぼとぼと名無しさんは裸足のまま外に出た。
辺りはすっかり暗くなっていて月が綺麗に光っていた。
名無しさんは足を水に浸けて座った。
「私……このままここにいるのかな?」
静かな森に名無しさんの声が小さく響く。
「前は二次元に行けたらなーとか妄想してたけど……今は寂しいとか、ないものねだりだよね……」
名無しさんは目にうっすらと涙が浮かべて笑う。
……歌おう。
突然歌いたくなった名無しさんは大きく深呼吸をして、歌い始めた。
ここに来て初めて歌った歌とは違い、寂しく悲しい歌を……
しかし、歌っている間に名無しさんはだんだん寂しさが増してきて涙が溢れてきた。
「うっ。ううっ……」
どうしよう……
止まらないっ……
不安で胸が押しつぶされそう……
名無しさんは泣いているうちにパニックになっていた。
その瞬間、誰かに頭を掴まれ、それと同時に口の中に何か液体が入った。
ごくんっ
……飲み込んでしまった。
何が起きたのか分からない名無しさんは自分の頭を抑えている人の顔を確認した。