長編U

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次の日、名無しさんは昨日の自分を恨んだ。


「おらっ!走れ!」


仁王立ちで名無しさんに指示を出しているサソリ。


「うぅ……何でそんなにやる気なの?」


名無しさんは渋々走りながらスパルタなサソリに半泣きになる。


「やるならきっちりやれ」


「意外と真面目なんだね!」


やけくそ気味に叫びながら名無しさんはひたすら走る。








「つ、疲れ……た」


10分ちょっと走ったあたりで名無しさんはへとへとになり、座り込む。


「おい」


横に立っているサソリの声に名無しさんはびくりと体を震わせる。


「休んですみません!走ります!」


名無しさんがふらふらしながら慌てて立ち上がるとサソリが名無しさんの肩を掴んだ。


「……?」


「休憩だ。ほら」


そう言い、水を名無しさんに渡すサソリ。


名無しさんは渡された水を呆然と見つめながらぽつりと呟く。


「……これがアメとムチってやつなのかな?」


「……あ?」


「いや、ちょっと可笑しくて」


嬉しそうにクスクス笑う名無しさんにサソリは言う。


「……ムチだけでもいいんだぜ?」


「アメ大歓迎ですっ!」



明らかに照れ隠しな言葉だったが指摘すると怒られるので名無しさんは黙っておくことにした。


「……おい、なに笑ってる」


「え?気のせいじゃない?」
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