長編U
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「ご、ごめん。八つ当たりでした……」
落ち着いたのか、申しわけなさそうに言う名無しさん。
「……いや、俺も悪かった」
「……」
「だけどな、食事はきちんとしろ。お前の体は俺とは違うんだ」
「……うん」
サソリの言葉に名無しさんは素直に頷く。
「そうだぞ名無しさん。よく見たら少し顔色が悪い。うん」
「え……」
鏡を見て、自分の顔色に気づいた名無しさんは慌てる。
「ダイエットをするなら健康的にするべきだ」
「でも……私が一人で外に出たら迷惑かけちゃうし」
イタチの言葉に俯く名無しさん。
確かに今まで何かがあったのはいつも名無しさんが一人で外に出たときだった。
「確かに一人ではな」
「え?」
意味が分かっていないのかきょとんとした顔の名無しさんにイタチはにこやかに言う。
「事の発端であるサソリさんに付き添ってもらえばいい」