長編U
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リビングでは名無しさんとデイダラがトランプをしていた。
突然現れたサソリを見て、名無しさんは驚いている。
「あれ?部屋から出てくるなんて珍しいね」
「旦那いつも引きこもってるもんな。隙ありだ!うん」
「わ!デイダラずるい!」
「忍者の速さ舐めちゃ駄目だぜ。うん」
「教えた頃は私の方が強かったのに!」
白熱している二人を前にサソリは話を切り出す。
「名無しさん、最近何かあったか?」
「……なんで?」
名無しさんはピクリと反応する。
「お前食事の量が減ったらしいじゃねぇか」
単刀直入なサソリにイタチは冷や汗をかく。
「そういえばそうだな。うん」
サソリに同意するデイダラ。
「……食欲がないだけ」
「具合悪いのか?」
俯く名無しさんに珍しく優しく問いかけるサソリ。そして名無しさんの顔色が少し悪いことに気がついた。
「少し休んだ方がいいな……行くぞ」
サソリはいつもの調子で名無しさんを抱き上げようとした。
「嫌っ!」
すると、名無しさんはサソリを思いっきり突き飛ばした。
不意の攻撃によろめきながらサソリは驚いていた。
「あ?」
そんなサソリに名無しさんは叫んだ。
「サソリの馬鹿!私に近づくなー!」
今にも泣きそうな声でソファの裏に隠れた名無しさん。
三人は状況についていけず放心状態になる。
「……サソリさん、何したんですか」