伝勇伝
□雨
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雨が降っていた。
ざぁざぁと、すべてを飲み込んでしまいそうな雨。
それを、俺は見る。
ローランドとは違う、異国の雨を見る。
纏わり付く様なそれは、俺の気持ちを下げさせた。
「陛下、」
そう呼ばれて、俺は顔を声の方へ向けた。
そこには、俺を慕いこの戦場まで着いてきた『人間α』達が、俺の指示を待っていた。
俺を信じきっていて、まるで神でも見ているかのような羨望の眼差しを向けてくる。
こうなるようにしてきたのは、他でもないこの俺だ。
こうなるように演じてきたのは、紛れも無く自分だ。
だが、その結果の彼等を見て。
胸が、苦しくなる。
張り裂けそうになる。
そしていっそう、気持ちが弱った。
自分の心が本当の意味でこれを欲していないと気付かされて、酷く心が弱る。
なら、何が欲しい。
自分自身の問い掛けに思い浮かんだのは、忘れる事の出来ない笑顔。
一人の友の、愛しい彼の、優しい笑顔。
彼は何時だって羨望でも、尊敬でもない、俺自身を見てくれる。
敵対してしまった、今でさえ。
一人の俺として、見てくれる。
それを苦しい事だと思った。
けれど、嬉しいとも思った。
その視線が恋しくてたまらなくて。
無性に哀しくなってきてしまって。
「…会いたいよ、」
そう小さく呟いた言葉は、雨音に掻き消されて消えた。
+ + + + + + + +
意味不明なものになりました。
反省はしています。後悔は…ちょっとしています←
梅雨という事で雨ネタで。
シオライには、哀しい記憶だよね。
と、いうわけでシオンさんは若干弱気です。
幸せになってぇえええ!
あ、名前だしてないけどシオライですよ!
H23.06.18