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□絶対領域
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最近ではすっかり自慰行為に耽る時は女装しないとイケなくなってしまった佐助は、今日は基本に帰って初めて着たメイド服にしてみていた。
「ん……っ、ふぁ…ん、くっ、ぅ…」
ふんわりとしたスカートの下からニチャニチャといやらしい水音が聞こえる。
「あ…っ、も…、そこぉっ!」
「何処が良いのだ?」
「え……っ?」
あと少しで達しそうな所で、せわしなく陰茎を扱いていた右腕を背後から掴まれる。
「それでは折角可愛らしい衣装に粗相をしてしまうぞ?」
ここに居るはずのない声の主に、佐助は身動き一つ出来ずに固まってしまう。
何で?家中の鍵は全て閉めたはずだし、部屋の扉が開いた気配も感じなかったのに…。
「ん?まだ達しておらぬのだな。それでは辛かろう。」
「ひぃっ!」
右腕を掴んでいた幸村の熱い掌が二の腕を撫でるように伝い、佐助の掌に手を重ねる。
「このままではよく見えぬな。佐助、裾を捲って見せてみろ。」
「や……。」
自分で慰める時だってなるべく見ないようにしていた雄の証を、事も無げに見せろと命じてくる。
これが、本当に俺が知っている旦那なのか?
「主の命令に従うのがメイドの勤めではないのか?」
何時もと違う熱く低い声で耳元に囁かれると、背筋がゾクゾクとしてしまう。
「だ…めぇ…」
「仕方ないな…」
こんな悪ふざけに飽きてくれたのかとホッとしたその時、
「えっ!?」
空いていた幸村の左手が背後から脇腹を通り過ぎて前に回すと、スカートの裾をパニエごと掴んでゆっくりと持ち上げる。
「や、やだっ、やめて…旦那ぁ。」
「止めて欲しくば抗えば良かろう?」
背後で表情は読み取れないが、意地の悪い笑みを含んだ声色から想像はつく。
「手ぇ、離してよ…お願い…ね?」
「離せと言う割には此方は喜んでおるようだが?」
「んんっ!!」
自分の手と重ねた幸村の手が陰茎を扱くと、先走りが滲んで二人の手を濡らしていく。
「ほれ、佐助…正面を見よ。」
幸村が指す正面へ視界をやると、いつの間にか姿見が置かれていた。
捲られたスカートの下では女性物の下着が膝まで下がり纏わりつき、二人分の手で握りこまれた陰茎の先端がいやらしく顔を覗かせている。
「やあっ…!」
「こら、折角の絶景から目を逸らすでないぞ。」
何故か幸村の命令には逆らえない迫力があり、佐助はおずおずと姿見へと顔を上げる。
「はは…まるで熟した果実のようだな。」
「んな…訳ないって…。」
「瑞々しい果汁が滴っておるぞ?」
クチュクチュとわざと音を大きく立てるように扱かれ、先走りは粘り気を帯びてきた。
「や、や、…だ、だめ、ほんと…やめ…っ!」
「誠に…止めて欲しいのか?」
そう言われても此処まで来ては吐き出さなくては治まらないのは分かっていた。
それでも、幸村の手でイカされるのだけは避けたい。
残された理性を総動員して陰茎を扱く幸村の右手を空いた自分の左手で引き剥がす。
「仕方ないな…。」
力の入らない手で指を一本ずつ引き剥がすと、思っていたよりもアッサリと陰茎から手を離す。
「ごめ…っ、手ぇ、汚れちゃったね。」
顔に似合わず節くれだった男らしい幸村の指が粘ついた先走りで濡れている。
「大丈夫だ、此方で拭うからな。」
「へっ?ちょ、ちょっと!」
離した右手をスルリと背後に回すと、隙だらけの臀部を滑った指が迷いなく割れ目をなぞる。
「此処で、良いのだろう?」
「いやいやいや、良くない良くないっ!」
未だ自分でも触れた事のない未知の領域に、本気で抗う。
「何を申す。」
「えっ…?」
「本当は…こうされたかったくせに。」
「ち、違うっ…そんなっ!」
「これでも…違うと申すか?」
「ひゃうっ!」
ゆ…指が…旦那の指が、俺の中に…?
不思議と痛みはなく、入口よりもっと奥が疼く。
「あ……あ……っ」
「どうだ…もっと挿れて欲しかろう?」
「や……っ」
ふるふると首を横に振って拒もうとするが、幸村の指は容赦なく根元まで先走りの滑りを借りて侵蝕してくる。
「あ…っは、っ……くぅっ、ああっ!」
ギチギチに隙間のない胎内をゆっくりと指が抜け出そうとする。
「このまま…抜いても良いのか?」
入口ギリギリまで抜かれた指が物足りなくて、声を詰まらせてしまう。
「ほれ、早う申せ…どうして欲しいのか。」
「………って」
「ん?今、何と申した?すまぬが聞こえなかったので聞こえるように申せ。」
「………ってよ?」
「そうか、抜いて欲しいのか、仕方あるまい。」
意地悪く入口ギリギリで円を描くように指が胎内をなぞる。
「…だからぁ」
「ん?」
「もっと、その指で……奥まで弄ってよ!」
「……承知。」
「んんっ!」
中を蠢く指の動きから、奥への刺激を期待した途端に、けたたましい警告音が鳴り響く。
「……あれ?」
部屋には幸村の姿はなく、警告音はただの目覚ましのアラームだった。
「なんつー夢見てんだっつーのっ!お、おぉっ?」
生々しい夢を見たのは自分自身でありながら、やり場のない怒りを撒き散らす。
と、起き上がった瞬間に、股間から冷たい感触が伝わる。
「……嘘だろぉ?」
夢の中であれ幸村にあんな事をされ、あまつさえ感じてしまった現実が佐助に突きつけられた。