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□絶対領域
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「佐助、今日もアルバイトか?」

「んー、最近人手不足でさ、シフト増やされちゃったんだよぉ。」

「そうか……しかし佐助もまだ学生なのだから学業を疎かにしてはいかんぞ?」

「わかってるって。これでも大学の単位は落としてないから大丈夫だって。」

「それならば良いが、たまには道場にも顔を出せ。お館様が寂しがっていたぞ?」


玄関を出るなり鉢合わせした可愛い顔で暑苦しいまでに真っ直ぐな彼は、俺様の幼なじみでお隣さん。

二つ下の高校三年生で、俺様が高校生の時までは近所にある武田道場に二人で通っていた。

実直な彼とは違って何事も程ほどが信条の俺は、大学進学を期に道場を卒業し、学生生活を謳歌してみる事にした。


「そ、それとだな…」

「ん?どしたの?」

「最近佐助とまともに話も出来ずに寂しいのは俺もだ。」

「…ごめんごめん。金曜日なら早上がりだからさ、久々に夕飯ご馳走するよ。旦那は何食べたい?」

そう言えばつい先程までの浮かない表情から一変、パアァッと効果音が出そうな笑顔に早変わりし、鼻息荒く
『オムライスが良いぞ!』とリクエストされた。

「OK、んじゃ特別に新作披露しちゃうから楽しみにしといてよ。」

「ああ、目一杯食べられるよう鍛練で腹を空かせておくぞ!」

「って…今日はまだ水曜日なんだけど。」


相変わらず自分に懐く真田の旦那が可愛くて仕方がない佐助は、朝日を浴びて美しく透ける茶色い髪をグリグリと撫でた。


朝練に向かう幸村と駅まで一緒に行き、先発の電車に乗った幸村を反対方向のホームから見送ると、おもむろに携帯を取り出し明日の卵特売デーを押さえるべくスケジュールにメモをし、足早にバイト先へと向かった。



旦那には決して明かす事の出来ない秘密の仕事へ……。
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