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□難攻不落
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幸村の目の前にいるのは幼き時より側にいた信頼のおける忍…のはずだった。
確かに思い起こせば幼き頃に川遊びをした時も、風呂で背中を流しにきた時も共に裸を見せていたが、佐助はある年を境に肌を見せなくなった。
たとえ幸村を庇って池に落ちても川に落ちても……。
幼き頃は目立たなかった女性らしさが隠しきれなくなり、肌を見せなくなったと考えれば矛盾はなくなる。
「だんな…聞いてる?」
「す、すまぬ、今何と申した?」
「もう、いくら俺様が可愛いからって見惚れ過ぎだよぉ。」
「や、そうでなくてな…。」
「そっか。そう、だよね…こんな立派な着物着たって、俺様なんて可愛くないよね?」
急にしおらしくなられては、幸村も認めざるを得ない。
誰よりも強く安心して背中を任せ、全身全霊をもって護られていた自分の忍が、本当は護るべきおなごだと言う現実を。
「そうではないっ!」
「えっ?」
「突然知らされて気持ちの整理がつかなんだ。だから…俺なんてなどと自分を卑下するな!」
「へへ…ありがと。やっぱり旦那は優しいなぁ。」
はにかむ仕草がいつもより可愛らしく見えるのは気のせいだろうか。
「ところで…俺にお願いとは一体何なんだ?」
「お館様の文に女子を抱けって書いてあったでしょ?」
「こ、こらっ!あまりあからさまに言うでない!」
「俺様さ、実はいつもの男の姿は変化の術なんだよね。」
「そ、そうだったのか?」
「そ、だって女のままじゃ旦那の背を護るには限界があるから。」
「何時も術を使っておったら躯に負担がかかるだろう?」
「そ!そうなんだよぉ。流石忍使いの真田の旦那は良く分かってる。」
様々な術の中でも変化や分身の術は気力体力共に激しく消耗するので、技量のある忍でも変化のまま戦い続けるのは相当躯に負担がかかると聞いていた。
「昔は躯も小さかったから自分の気だけで維持出来たけど、これから控えてる戦とか考えると、外から気を取り入れる方法が必要なんだ。」
「そんな事が出来るのか?」
「旦那だってよくお館様から気合いを注入してもらってるでしょ?」
「うむ、お館様の気合いを拳で受けると力が内からみなぎるな。」
「それに近い感じ?ただ俺様は男の躯でいる為の気だから少し違うんだ。」
「では、どんな気だ?」
「男の気って言ったら……これに決まってんだろ?」
ムギュッと着物越しに下肢を握られ、幸村は再び声にならない悲鳴をあげた。
「な…なにを…っ」
「俺様ん中に旦那の気…注ぎこんでくれない?」
「ど、どうやって…だ?」
「もぉ、どうしても俺様の口から破廉恥な事言わせたいの?」
「ば、莫迦者っ!」
「そんじゃ、直球に言うよ…」
下肢を掴んでいたはずの佐助の指先が、形をなぞるようにやわやわと動き出す。
「旦那のこの立派な磨羅を…俺様ん中に挿れて?」
幸村が声を出せない代わりに下肢がグンッといきり勃ち、是と応えていた。