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□絶対領域
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政宗のカウントが2のところで
教室に飛び出した。

一瞬にして教室中はシンと静まり返り、
皆の注目は佐助へと集中した。


やばい……やっぱり変だよな?
それとも顔がにやけててキモいのかも?

わー、もう逃げ出したい!

と、佐助が悲観的になっていた時、
教室の沈黙を破ったのは女子生徒の
黄色い悲鳴だった。

『猿飛くん可愛い〜!』

『や、マジ脚綺麗なんだけど。』

『細っ!何その腰っ!隣並びたくない細さっ!』

矢継ぎ早に女子生徒達からの称賛?
にひきずられるように、男子生徒からも

『マジかよ…アリかナシかなら…アリだな。』

『ヤバい…後ろ姿だけなら女子とイイ勝負かも。』

『つか俺達が着てもこうならないだろ?』


皆から視線を一斉に浴び、普段は見せない
脚を女子のように羨望の眼差しで見られて、
佐助は背筋がゾワッと粟立つのを感じた。

『な。猿ですらスッピンでこうなるんだ。
メイクも完璧にしたらみんな化けるぞ?』

『ちょっとぉ〜、猿ですらってどう言う意味?』

政宗のツッコミでようやく我に返った
佐助は、いつもの自分のキャラを取り戻し
素早くツッコミ返す。

『女子、お前らの持ってるメイクテクを
全力でこいつらにぶつけてやんな。』

楽しそう〜!とはしゃぐ女子に、マジかよ?
と言いつつ満更でもない男達のリアクションに、
佐助は自分が変に思われなかった安堵の溜息をつく。

『まずは、ちょうど衣装も着てやる気満々
な猿からメイクしてやんな。』

『えっ!?ちょっと、あんたが着ろって
言ったんでしょ?』

両腕を女子に拘束され、椅子に座らされると、
女子は各々のメイクポーチからアイテムを
取り出し、新しい玩具を与えられた子供の
ようにはしゃぎながら佐助にメイクを開始した。




***********

『できたぁー!』

『や、私ら凄くない?』

『ね、どんな感じになってんの?
すげー怖いんだけど。』

散々塗ったり巻いたりされた佐助は
少しグッタリとしていた。

髪の毛も左右に結ばれ、逆毛を立てたり
されたのは分かるが、全体がどうなった
のか皆目見当がつかない。


『隣の倉庫から姿見持ってきたよ〜。』

『それじゃあ、新しい猿飛くんとご対面〜!』

姿見に背中合わせにたたされた佐助は、
ゆっくりと振り返った。




『嘘……だろ?』





そこには、自分が理想としていた
好みどストライクの女の子が立っていた。
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