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□夏の恋はお疲れSummer
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「よぉーっし、明日の仕込み完了〜!」

小十郎から貰った夏野菜をふんだんに使い、明日の弁当のおかずを慣れた手つきで仕込み終える。

新鮮な野菜の風味を味わえるカポナータは、色みが鮮やかな上に日持ちするので大量に仕込んでおく。

人参やズッキーニを千切りにして豚バラで巻き、甘辛く照り焼きにしたものや、冬瓜と鶏ひき肉のあんかけ煮など、幸村の好物ばかりが並ぶ。

「ちょーっと作り過ぎたかな?」

幸村用の大容量の弁当箱に詰めると、余ったおかずも几帳面にタッパーに詰めて冷蔵庫に仕舞った。

「さてと、お次は………って、思い出しちまったじゃないか。」

帰りしな、政宗に言われた一言を思い出し、佐助は一人で頬を赤らめていた。


『猿、明日はその野菜たっぷり使った愛妻弁当にしてやれよ?』

『愛妻って……そりゃこんだけイイお野菜なんだからありがたく使わせてもらうよ?』

『そうそう、弁当の仕込みが終わったら………自分の身体もちゃんと仕込みしとけよ?』

『ばっ、かじゃねーの?セクハラ!オヤジっぽい言い方すんなよ!』


「そりゃ……ちゃんと仕込みますけどね。」

すっかり感化されてしまった佐助は、照れ隠しに自分でも仕込みと呟きながら風呂場へと向かった。


「うー、何か段々すんなり挿ってくようになってんだけどぉ。」

風呂場での下準備も慣れ、胎内に恐る恐る挿入していた自分の指が、今日は二本深々と咥え込めるようになっていた。

佐助は元々手先が器用で物覚えも早いと評される事が多いが、こんな事までコツを掴むのが早いとは自分でも意外だった。

「これなら………そろそろイケるかも。」

風呂上がりの身体は拭いても拭いても汗が滴り、バスタオルを腰に巻いただけの格好で自分の部屋まで移動する。

たとえ親に見つかっても、この猛暑では仕方ないとおとがめもない。

「どうせ汗かくし……このままでいっか?」

幸い自室には冷房が完備されているので、ここぞとばかりにキンキンにクーラーを効かせると、タオルケットを足元に寄せてベッドの上に寝転がる。

「今日の旦那………すっげぇ眼してたなぁ。」

政宗達の手前ガン見してるだけとか言ってしまったが、試合中に見せるのとも少し異なる射抜くような眼光に、佐助は身震いしそうな程感じていた。

「もし、あれが嫉妬で………俺におしおきしてやるー!とか言われたら……勃っちゃうかも。」

あの暑苦しい程真っ直ぐな幸村が、自分を嫉妬と欲望の対象として見て、些か乱暴に身体を晒されでもしたら……などと良からぬ妄想が止まらず、ベッドサイドに置いてあった小箱を自分の方へ引き寄せる。

「ん………だん、なぁ………。」

ブチュッと粘着質な音を立て、チューブからジェルを絞り出し、風呂場で解した後孔へと自分の指で塗りつけると、すんなりと人差し指を食む。

「あ、はっ………っあ、も……ちょ………んっ、」

『こんなに貪欲に指を食むとは……何と淫らな孔だ!』

「や、ちが………うっ、ん……っっ!」

クチュクチュとジェルが溶けて粘膜に指が包まれると、猥雑な水音が部屋の中に響き渡る。

「俺は………だ、旦那……だけ……だって……んんっ!」

『では此の音は何だ?まるでおなごのようにビシャビシャではないか?』

「や、そ……そんなぁ…………っ」

解れた上に、頭の中では幸村が乱暴に後孔を弄っている妄想に耽る佐助は、薬指も纏めて三本の指を深々と咥えこむ。

「んはっ、あ……や、きつ……いっ……ての……ぉ」

『そうか?まだまだ物足りぬと中が戦慄いておるぞ?』

胎内は圧迫感で一杯だが、時折奥の方にある一点を指が霞めると、触れていないはずの陰茎にゾクリと射精感に近い感触が走る。

そこをもっと擦ったら、とんでもなく気持ち良いのでは?と、甘い誘惑で頭が一杯になった佐助は、箱から白い淫具を取り出した。

「本当にこれで挿るのかな?」

それは女性用のと異なり、前立腺を刺激する事に特化した淫具で、やや小振りだが会陰と内部から刺激するよう特殊な型値をしている。

二つある取手のような部位の前方を会陰に当て、淫具の頭部をひくつく後孔にあてがうと、入り口の収縮に合わせてすんなりと胎内へと一気に飲み込まれる。

「あっ、や………なっ……んんっ!!」

指とは違う硬さと冷たい異物感に、一瞬目眩がしそうになるが、深呼吸して括約筋の力を抜くようにとマニュアルに書かれていたのを思い出し、呼吸を整えるよう試みる。

「ん、は……ぁ………あ………っ、ん………」

挿入後暫く大人しくしていると段々と馴染んでいくと書かれていたので、そのまま落ち着くのを待つと、次第に違和感は治まり身体の強張りも解けていく。

「ん、あ………ふっ、あ………」

少し余裕が出来てくると、淫らな妄想が再び佐助を襲う。

『見てみろ佐助。こんなにも容易く俺のモノを貪欲に咥えておるぞ?』

自分の胎内に収まっているモノが幸村だと妄想すると、触れてもいない陰茎が硬度を増す。

「や………そんな……いわないで………ぇ……っん、んっ!」

『いやらしくヒクついて噛みちぎられそうだぞ?もっと弛めぬか!』

「ひゃうっ!や………あ………む、りだ……ってばぁ……っ」

妄想の幸村は口調こそいつもの通りだが、卑猥な言葉で佐助を責め、顔に似合わぬ無骨で大きな掌で臀部をピシャリと叩く。

『はは、尻を叩くと中が益々締め付けるな。ではこれならどうだ?』

「や、あ……そんな……とこ、触らな………いのぉ……っ」

淫具を支えている右手はそのままに、空いている左手でぷっくりと勃ちあがった乳首に触れてみる。

『摘んでくれと言わんばかりに膨れておるぞ?ん?』

キュッと摘むと平らな胸板全体にまで電流のような痺れが走る。

「あ、あ………も、もぉ………だ、め………いっ……ちゃ………っ」

ゾクゾクッと背筋を悪寒が走り、身体をしならせてビクビクと跳ねさせて達する快感を感じる。
なのに恐る恐る覗いた下肢は予想に反して白濁に塗れていなかった。

「あれ………?」

そう言えば上手くするとドライオルガスムスで何度も空イキすると書いてあったが、初回からこんな快感を味わってしまうとは………

陰茎を扱いての自慰とは比べ物にならない程の快感に、佐助は暫し呆然としてしまう。

「もぉ………癖になっちまったらどうすんだよぉ………」

未だ胎内で刺激を与え続ける淫具をそっと引き抜こうとした時、コンコンと部屋の扉をノックする音がして身体が硬直する。

「佐助、俺だが入るぞ?」

昔は佐助の部屋にノックなどせずに無遠慮に入って来たが、中1の時自慰を見られて以来、絶対ノックをしてイイと言うまで扉を開けない約束をしていた。

だが、今は全裸な上に淫具を挿入しているどうにも見られたくない状況で、玄関からやって来ている以上不在ではないとバレているはず。

かと言って身支度を整える余裕などない佐助は、仕方なく足元に纏めておいた掛け布団を引っ張り上げ頭から被る。

何度かのノックの後、幸村にしては珍しくゆっくりと扉を開けて様子を伺いながら部屋の中に入って来た。

「佐助?………何だ、もう寝ておったのか。」

渾身の役者魂を振り絞り、穏やかな寝顔で寝ているふりを決め込んだ佐助だが、少しでも掛け布団を捲られたらと言う恐怖と戦っていた。

ゆっくりとベッドの側に近付く気配に、心臓は早鐘を打っていたが、首から上はどうにか平静を保ってみせる。

「夏はこれからなのだから、あまり無理をするなよ?」

そう言って慈しむように佐助の頭を幸村の大きな掌が一撫ですると、ゆっくりと気配が遠のき部屋の扉が閉められた。

「あれー、幸くんどうしたの?」

「佐助は疲れてもう寝ておりました。」

「あらー、ごめんねぇ。よかったら佐助の分も夕飯あるから食べちゃわない?」

「ありがたく頂戴致します。」

階段の下での母親との会話が聞こえ、どうやら狸寝入りはバレていないようで安堵する。

「や、ばかったぁ〜〜〜」

また部屋に来られても大丈夫なように、快感の余韻に痺れる身体を鞭打ち淫具を胎内から引き抜く。

「ん、くっ!」

幸いドライオルガスムスで吐精していなかったのあり、部屋に独特の匂いもしていないので幸村にはバレなかったのだろう。

「何やってんだろう俺様ってば………」

だが、あんなにも優しい清廉潔白な幸村を妄想の中でとは言え、穢してしまった後悔が佐助を襲う。

「ごめんね、旦那…………」

押し寄せる後悔に反して身体はまだ快感を欲してしまっている浅ましさに、佐助は汗と一緒に目尻の雫をシーツの上に零した。
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