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□夏の恋はお疲れSummer
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絶対的な圧倒感に負けた佐助は、幸村から手渡された玩具を握りしめたまま途方に暮れていた。


って言うか本気で旦那は俺様がコレ使ってあんあん言ってるとこ見る気かよ?


いくら全てを捧げる覚悟は出来ていても、いきなり玩具を使っての自慰行為を幸村に見せろと言われるとは想定していなかった。

まだ酒に酔っていて戯れ言を言っているのかと一瞬疑ったが、例え酔っていようが幸村がその手の冗談を口に出すような男ではないのは佐助自身が一番知っている。

「ん?風呂に入っておったのか?」

「わっ!ちょっ、や………」

幸村は顔を佐助の首筋に近付けクンクンと鼻を鳴らして湯上がりの肌を嗅ぐ。

「石鹸に隠れて何やら別の良い匂いがするのだが……」

風呂での自慰行為を見抜かれたのかと一瞬体を強張らせてしまうと、首筋を熱い唇が軽く吸い上げて来る。

「ひぅっ!や………」

「すまぬ、つい美味そうでな……」

吸って痕のついた首筋を今度は舌で優しく舐られ、佐助は歯を食いしばるが喉が思わず鳴ってしまう。

「うぁ……や、ぁ………っ」

「ん?痛むのか?」

幸村の舌で執拗に首筋を舐られると、先程風呂場で発散したはずの佐助の欲望に再びスイッチが入ってしまう。

「ち、が………っもぉ……」

ジワジワと向かい合っていた身体を密着させてくる幸村の厚い胸板を僅かに腕で押し退ける。

「ん?どうした佐助」

「もぉ……わざとだろぉ?」

「いや、佐助が可愛らしいのがいけない!」

清々しいまでの責任転嫁をされ呆れて声も出せずにいると、急に神妙な面持ちになった幸村が玩具を握りしめたままの佐助の手を上から包み込むように掌で握りしめる。

「なっ!」

「今宵、佐助の全てを俺の物にしたい。それに異存はないな?」

「えっと……………う、うん」

急に真顔で言い切られてしまうと、つい首を縦に振ってしまう。

「その覚悟があるのならば……お前が俺を受け入れる術を伝授してくれるな?」

手合わせを頼む時のように爽やかに、けれどその奥にひた隠しにされている雄の欲望を感じ取った佐助は、もう一度小さく頷いてしまった。







「ね……………電気、消してもいい?」

「ならぬ!視界が悪くてはお前の全てを見届けられまい」

ベッドの上に横たわった佐助は、自らの手でハーフパンツを下着ごと脱ぎ捨て大きめのTシャツでかろうじて隠す何とも卑猥な格好で最後の羞恥から部屋を暗くして欲しいと懇願する。

「そうだけどさぁ……あんまマジマジと見られると辛いんだけど?」

「全て俺の物になる覚悟ならば、包み隠さず曝け出せ」

何とも高慢な物言いだが、語尾に甘さが含まれているだけで佐助は言いなりになってしまう。

「もう………見て萎えても知らないからな?」

「その心配はいらぬ。何なら今すぐ確かめてみるか?」

幸村の視線が己の下肢に移され、つられて視線を追った佐助は一瞬息をのむ。

まだ直接触れていないのにも関わらず幸村の下肢は硬いデニム越しにも熱く滾って生地を押し上げているのが見て取れた。

「だ、旦那ぁ?………その、それ…………」

「佐助を前にすれば何時でも滾っておる。お前は気付いてなかったのか?」

「や…………だって、そんな風に見てくれてるなんて思ってもいなかったし……」

佐助は自分ばかりが幸村を好いているのだと思い込んでいた。
それ故にただの幼なじみから逸脱した行動の数々を取っていた幸村の真意に気付かずに来てしまった。

改めて自分の一方通行ではない証を身体で見せつけられてしまうと言葉以上の説得力があり、肝心な告白がまだだと言うのなんてすっかり吹っ飛んでいた。

「獣のように即物的ですまなんだが…………こんな俺は嫌か?」

急にしおらしい態度を取られてしまうと、ついつい佐助は絆されてしまう。

「んな訳…………ないだろ?」









「んんっ…!あぁ………っ、」

煌々とした電灯の下で、白い肌を艶かしく紅潮させながら身体をビクつかせている佐助を、ベッドの脇で正座したままの幸村が突き刺さるような視線で舐る。

「ここ………男は、濡れないから………これで……慣ら、んんっ!」

ジェルをたっぷりと指で掬い取り後孔に塗りたくると、風呂場で解しただけありスンナリと人差し指の第一関節を飲み込んでしまう。

「そうか…………何本挿れれば良い?」

「ん………、に……三、本?」

「斯様にか細く小さい孔にそんなに挿るのか?」

そう言う幸村の視線は、貪欲に指を銜え込んでいく後孔に注がれ、痛い程の視線を感じた佐助は羞恥と快楽でひっきりなしに先走りを滲ませ自分のシャツを濡らしている。

「だい、じょ……ぶ………練習…………した、から」

「!それは…………誰かとか?」

横たわる佐助に顔を近付け、地を這うような低音で幸村が問う。
瞬時に嫉妬で目が血走っているが、それでも男前だと見惚れてしまった佐助は、少し唇を尖らせながら幸村の唇に軽く口付けた。

「なっ!こ、こんな事では誤摩化されぬぞ!」

「ほんっとおばかさん…………」

幸村の少し焦った様が可愛くて、ほんの少しだけ佐助に余裕が生まれる。

「誰かと練習したなら、こんなモノ使わないっての………」

枕元に置かれた玩具を横目に見ると、再度幸村の唇に触れるだけのキスをお見舞いする。

「ね…………まだ、俺様一人で教えなきゃ駄目?」

「何?」

「旦那も真の漢になったんだから………男の甲斐性、見せてみろよ?」

佐助の挑発に、幸村がギリッと奥歯を噛み締めると素早くベッドの上に飛び乗り佐助を仰向かせる。

「ここまで堪えた自分を、自分でも褒めてやりたいわ………」

「え?ちょ………だ、旦、んんっ!」

先程の触れるような淡いキスのお返しとばかりに、口内を幸村の舌が蹂躙する濃厚な口付けをお見舞いされる。

「ん、ん、んーー!」

もがけばもがく程咽奥まで舌が挿り込みそうな程縦横無尽に舐られ、佐助は息苦しそうに咽を鳴らす。

「んあ、はっ、……あぁ……」

慣れぬ口付けで鼻で上手く呼吸の出来ない二人は息が苦しくなり、漸く一時解放された。

「もぉ…………急過ぎん……だよ」

途切れ途切れの呼吸の中で、佐助が抗議の声を漏らすと幸村は余裕の無い笑みを浮かべる。

「佐助、お前に少しの猶予を与えようと焦らしたが………甲斐性を見せよと言われたからには全力でお前に挑むぞ?」

幸村は少し身体を離すと、着ていたシャツを豪快に脱ぎ捨て雄々しい肉体を惜しげもなく晒す。

「覚悟は出来ておるだろうな?」

「そんなの……………」

仰向けのまま腕を伸ばすと、幸村の背中に回してしっかりと自分の方へ引き寄せる。

「とっくの昔に出来てるよ?」

幸村がグッと咽を鳴らすと、長い夜の開始を告げるような深い深い口付けを佐助にお見舞いした。
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