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□夏の恋はお疲れSummer
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「へへ、あの二人も上手くいくといいんだけど…」

最後は二人に任せ見届けずに出て来た佐助は、結果は少なからず悪くはないと践んでいた。

「竜の旦那、人の事散々言ってたけど自分の事には結構疎いんだもんなー」

だが佐助も今ならその気持ちがわかる。
自分の片思いだと信じて疑わず、相手の向けていた好意を素直に受け止められなかった時期の何と勿体ない事か。

「もっと早く気付いてたら………なーんてね。今だから覚悟出来たんだし良しとしなきゃ」


部屋に戻り窓を覗くと、幸村の部屋の灯りは既に消えていた。

漢祭に向け、早朝から鍛錬と準備に追われている幸村は、ここのところ家に帰るなり玄関先で寝落ちするのも珍しくない。

「もう明後日だもんね……」

漢祭りで総大将を無事務めあげた暁には…………

「や、ほんと…………どうしよ、心の準備は何時でもオッケーだけどさぁ」

少し息を飲み、小十郎が用意してくれた紙袋を鞄から取り出す。

「こっちの準備も………しておかないと、だよな?」

意を決して開封すると、中からは未開封の箱に入った所謂男性器を模した毒々しいピンク色をした大人の玩具が姿を現した。

「ネットとかでは見た事あったけど……へぇ……ちょっと、デカくない?」

他人と比べた事などないので標準はわからないが、少なくとも自分が臨戦態勢の時よりも遥かに長さや太さがある玩具を前に、佐助の中に在る男としてのなけなしのプライドが傷つきそうになる。

「あ、でもこんなのって大体が誇張してるんだよねー………」

しかし、以前政宗が体育の着替え中に幸村の下肢を見たが相当デカイと言っていたのを思い出す。

「こんなおっきいの………挿るかぁ?」

エネマで後孔を開拓してはいるが、それでも怯んでしまう大きさを前に少しだけ弱音を吐いてしまう。

「や、旦那だって総大将として頑張ってるんだ!俺様だって………って頑張りどこ違うよなぁ」

流石に自分にツッコミを入れてしまうが、このまま怯んでいても埒があかない。

「ちょっとだけ…………試してみよっか………な?」


意を決して箱から中身を取り出すと、ベッドの下に常備してあるエネマやローションを収納した箱を取り出した。





部屋着のハーフパンツを下着ごと脱ぎ捨てるとベッドで横向きに寝転がり、先ずはチューブ状の軟膏を指先に取り出す。

「んんっ!」

指先でよく練り合わせて温めた軟膏をゆっくりと後孔へと塗り付けると、滑りと共に人差し指の第一関節まですんなりと挿るようになっていた。

「ふぅ………ん、っ………っんんっ」

呼吸を整えて中が緩んだ隙を狙って歩を進めれば、あっと言う間に根元まで咥えこんでしまう。
自分の指に食らい付く圧迫感を丁寧に解しながら更に中指も歩を進める。

「あ、ぁ………んっ、あ、っぐ、」

二本の指を根元まで収めると、中で左右に押し開きグルリと回転させる。

「あはぁ………っ、ん………ぅ……」

女性と違って中が濡れないので、指を半分抜き出すと途中からローションも取り出して指に垂らして中に潤いを足す。

「ん、ん、んっ……ん、ぅ………」

グチュグチュといやらしい水音が部屋に響くと、佐助の興奮は益々昂り直接触れていない陰茎から先走りの雫をタラタラと滲ませてしまう。

「あ、あ、っ、ちょ………んんっ」

このまま自らの指だけで達してしまいそうなのを奥歯を噛み締めて堪えると、横に置いておいた玩具に用意してあるゴムを被せる準備をする。

『あ、もう在庫ないや……次は自分で買い足さないとなぁ…』

身体の興奮に反して、頭はまだ冷静な判断が出来ているのが妙に滑稽に感じてしまう。

「んふ………っ、う…………」

右手は後孔を解すので塞がれているので、片手でゴムの封を開けるため歯で噛むと、器用に開封する。

「やっぱ………でかく……ね?」

眼前の玩具にゴムを被せしげしげと見つめると、太さはエネマもそれなりにあるが玩具には奥を突く長さがあり、これで良い所を擦りあげたら……と不安と期待が入り交じる。

「こ、これは旦那だ!仮想旦那なんだから!」

そう自分に言い聞かせると、グロテスクな其れが少しだけ愛おしくなる。

これが幸村なら……と、ゴム越しに先端へ口付けると、少しだけ口に含んでみる。

「うぇっ、まずっ!」

ゴムの先端にあるゼリー状の潤滑剤を口にしてしまい苦々しい顔になる。

「咥えるのは………本物の旦那だけにしとこ…」

口淫の練習は早々に引き上げると、玩具をしっかり握りしめ背後に持って行く。

「この……辺、っ…………んんっ!」

指を胎内よりズルンと引き抜き、自分でも自覚できる位後孔がパクパクと物足りなげに口を開けているところへ玩具の先端を宛てると、待ってましたとばかりに入り口は玩具を胎内へ飲み込もうと歩を進める。

「が、っ、はぁ…………っ、ん…………っ!」

亀頭から一番太いカリを越えてしまえば、長い幹を胎内が奥へ奥へと飲み込んでいく。

「うっそぉ…………お……」

いつもエネマで探る前立腺をアッサリと突き上げ、最奥まで軽く押し込むと身体はビクビクと跳ねあがる。

「あ、ぁ…………っ、あ、あ……」

冷たい無機物が熱い胎内を蹂躙する恐怖は、これが幸村だったらと夢想すれば心地好さにすり替えられる。

「も、……っ、あ…………っ、んんっ!」

そっと半分ほど引き抜いてみると、胎内をカリが擦り腸壁が戦慄く。

「だん………な………っ、だ、ん…………なぁっ!」


玩具を次第に幸村の熱い陰茎へと頭の中で置き換えると、夢中で名前を呼びながら玩具を揺さぶる手を止められなくなる。

「旦那ぁ…………そこ…………もっとぉ……んぁっ、あ、っ!」

あと少しで達しそうになった時、枕元に置いてあった携帯が着信を知らせる。

「あ、あ………だ、旦那ぁ??」

その着信音は幸村用のもので、反射的に通話ボタンを押してしまった。

『夜分にすまぬ、まだ起きておったか?』

「あー、うん、そろそろ…寝よっかなーって……っ」

声が上擦らないようゆっくりと玩具を動かしていた手を止め、なるべく悟られぬよう呼吸を整える。

『先程母上から告げられたのだが、明後日の漢祭の日………家の両親と佐助のご両親で温泉旅行に行ってくるからとの事でな……』

「え……そう、なんだ」

『その、それで、だな………もし、佐助が良ければそちらに邪魔しても良いか?』

あー今旦那すっごい緊張してるんだろうなぁ。あんなに雄々しいのに、こう言う時に途端に初になられると、俺様が何とかしなきゃって思わされちまう。

「大歓迎に決まってんだろ?そうだ、二人で漢祭の打ち上げしよ?」

『そ、そうだな………』

少しだけ声のトーンが下がった理由を何となく察してしまう。

「それとさ、その……うち、泊まってくだろ?」

電話の向こうで幸村が息をのむのが伝わる。

『も、勿論だ!』

「ねぇ、旦那………アンタはもう立派な総大将だ。」

『いや、まだまだその器ではない………』

「んな事ぁねえよ。お館様に任されたってだけでもその器なんだから」

『そう、あらねばならぬな………』

「俺様もしっかりサポートするからさ、明後日は頑張ろうな?」

『ああ、すまぬが頼んだぞ、佐助』

その言葉、弱いんだよなぁ……全力で尽くしたくなっちまう。

「りょーかいっ、てね」

『本来ならば面と向かって申すべきであったが電話ですまなかったな』

「んーん、いいっていいって」

『今、佐助の顔を見てしまっては………己を抑えきれる自信がなくてな。まだまだ未熟だ』

「ちょ、そんな事言うなよ……」

『す、すまぬ!破廉恥であったな』

「俺様だって抑えきれなくなっちまうから、おあいこだけど?」

『!さ、佐助ぇ!』

あー興奮させちゃったかな?今部屋に来られたらちょーっとマズいなぁ…

未だ玩具を後孔に挿入したままの佐助は、感じない様電話に気持ちを集中させつつ万が一乗り込まれた時のため、胎内からゆっくりと玩具を引き抜く。

「んんっ!」

『な、どうした?』

カリの太い部分が入り口を抜ける時引っかかり、思わず鼻から抜ける甘い嬌声が漏れてしまった。

「あ、え……な、なんでもない!」

『そうか?何やら艶かしい声が聞こえたようで焦ったぞ』

ったく、こんな時だけ鋭いんだから!!

「やだなぁ、もう……そう言うのは全部、努めが終わってからだろ?」

『そ、そうだな……すまぬ、何やらそればっかり考えておるようで情けないな』

あんなに清廉潔白だと思っていた幸村が、自分に情欲を向けているのだと感じるだけで佐助の興奮は玩具を引き抜いた後も胎内をくすぐるように甘く疼く。

「そういう旦那も、嫌いじゃないから大丈夫だって…」

『本当か?』

きっと心の目で見た幸村は、今頃犬の耳をピンと立てて尻尾を全開に振っているだろう。

「それじゃ、明日も早いんだからそろそろ休んでくれよ?」

『うむ、夜分にすまなかったな。』

どうにか部屋に乱入する危機は脱した佐助は、通話ボタンを切るなり陰茎を握り擦りあげる。

「ん、あ……も、ぉ………だん、な………ぁ、だんっ!!!」

先程までの声を思い出し、一気に昂りを発散させる。

「んんっ!!」

ギリギリまで張りつめていた陰茎は、呆気無く飛沫を放ち己の掌を白濁で濡らした。

「はぁ…………あ、…………はぁーーーーもう、旦那ってば!」

足をジタバタと揺らし、頭も前後に揺らしてベッドの上を転げ回る。

「すっげぇ可愛い…………」

自分の一挙手一投足で声色が変わる幸村が益々愛おしく、速く自分の想いをストレートにぶつけたくなってしまう。

「ま、とっくにバレバレだろうけどねぇ……」

それでも、こんな焦れったい言葉の駆け引きが出来るのも明後日までかと思うと名残惜しさすら感じてしまう。

「明日も………もうちょっと予行練習しとかないとなぁ」

佐助が幸村の本気を、身を以て思い知らされるまであと二日。
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