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□夏の恋はお疲れSummer
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旦那とキス…しちゃったんだよな。
佐助はふわふわと心浮き立つ余韻を噛み締め笑みを洩す。
熱い抱擁の後、事情を知らぬ佐助の母親がキッチンから『幸ちゃんもうちでご飯食べてく?』と呑気に聞いてきたお陰で現実に引き戻され、どうにかそこで踏みとどまれた。
旦那ってばすっげぇ前屈みの不自然な体制で今日は帰りますって言って帰ったけど………あれ、もしかしなくても勃ってたよな?
自分を欲情する対象として見ているのだと知れただけで、佐助の不安は綺麗サッパリ吹き飛び、幸村の唇が触れた己の唇を指でなぞるだけで生々しい感触を思い出してしまう。
「うーー……後でちょっと抜いておこ」
「ここんとこ随分機嫌が良さそうじゃねぇか?」
「やー、分かるぅ?」
あの日を境に佐助は両思いだと言う自信が栄養にでもなっているのか、肌から髪から唇までツヤツヤと輝いて見える。
「まぁ、ウジウジメソメソされるよりかは百倍マシなツラってとこだけどな?」
「はいはい、竜の旦那にしてはお褒めの言葉って事でありがたく受け止めますよー」
漢祭の重責で悲壮感漂っていた幸村も、周囲が驚く程に何時もの熱血ぶりを取り戻し意気揚々としている。
『ついにヤッたのか?』
二人のなりゆきを見守っていた周囲は皆一様にそう思ったが、政宗への惚気相談を盗み聞きする。
「へぇ、それで大人しくスタンバイして待ってるって訳か?」
「そりゃあ……待っててくれって言われちゃったし?」
デレッデレで今にも蕩けてしまいそうな顔で惚気られた政宗は、幸せ一杯オーラに胸焼けしてしまい、少し仕返しする。
「それで、真田を挿れられる位拡張出来たのか?」
「ちょ!何言ってんだよ!!」
流石に直球過ぎたのか、佐助は耳迄赤く染めて政宗の口を塞ぐと、周囲をキョロキョロと見渡してから聞こえないよう顔を近付け耳元で小さく囁く。
「…………………やっぱりさぁ、エネマだけじゃ足りないかな?」
恥じらっておきながらとんでもない事を聞いて来る佐助に、政宗は思わず吹き出した。
「ちょ、きったねぇなー!唾でベトベトになっちまったじゃないか!」
「うっせー!てめぇがンな事聞くからだろうが!」
「だってさぁ……受け入れる俺様が準備出来てなかったら旦那に良くなってもらえないだろ?出来るなら万全の体制で旦那を迎え入れたいし……」
思いが通じ合ったと確信した後も、なお一層幸村の為にと奮闘する一途さに政宗もついつい絆されてしまう。
「わかったよ………用意してやっから明日取りに来い。」
「さっすが竜の旦那!俺様大感激ぃ〜〜」
「気持ち悪い声出すなっての!」
目一杯の猫なで声を出す佐助を軽く諌めると、政宗はわざとらしく深い溜め息をつきながら小十郎にメールを打ち始めた。
すると、即座に返信のメールが政宗に届く。
「ん?おい猿、今から家来れるか?」
「え、別に大丈夫だけど」
政宗が些か首を傾げつつも、再度返信をする。
「注文しとけって言ったらもうあります。だとよ?アイツ用意周到過ぎるだな」
「えっと……あーそ、そうなんだぁ。」
「どうした?」
「ん、やー、それ、本当に俺様の為に用意してたのかなーって……」
「ばぁーか!小十郎がンなモン使う訳ないだろうが!」
「そ、そうだよね!ははー右目の旦那ってば用意良過ぎて俺様照れちゃうなー」
「お前にまだ恥じらいが残ってたのか?」
「もう!俺様心はいつでも清純ですからー」
「身体は自己開発してとんでもないビッチ仕様だけどな?」
「ビッ………っちょ、その言い方酷くない?」
ブーブー文句をたれつつも、ちゃんと面倒を見てくれる政宗が嫌いではない佐助は、小十郎に関して伝えなくてはいけない事を何時言おうかとタイミングを伺ってみた。