飛段部屋


□入団おめでとう!!
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「飛段先輩〜〜!!」
「ん?トビだ!!」
「トビっす〜♪」
「おうおう久しぶりだな〜!!」


バシンと横まできた飛段が背中を強くたたくもんで咽るところだった(仮面被ってるから今咽たらダイレクトに俺の顔に唾が飛ぶ)
俺が地味に背中を摩ってるのをみてゲハハ!!と笑い出すし・・・

俺と飛段は仲がいい、新人同士というのもあるんだろう
とは言え、この組織のメンバー候補として選ばれたのも
飛段が暁に入ったのにも、大分月日が経っているが。このドデカイ暁という組織ではまだまだヒヨっこなのだ


「イテテ・・・飛段さん、今日は角都さん居ないんすか?」
「ん〜、角都は今諭吉さんを数えてる・・・邪魔したら多分半殺しだぜ」
「あ〜・・・そうでしたか;」


2人の間にビミョーな空気が流れた
(気まずい・・・・)
だが飛段は廊下窓の外の景色を見ていた
どことなくボーと、たそがれているような
寂しそう、っていうのがお似合いなんだろうか?などと考えていた


飛段は華奢だと思う、俺より2センチでかく筋肉も付いてる大の大人になんつーこと言うの、とは思うが


色も白くて、指も細くて。無駄な脂肪が0だろうなと思うのだ
(触れてみたい・・・・)


「・・・?トビ?」
「ハ?・・・・なんですか?」
「いやいや、こっちの台詞だぜ。・・・なにこの手?」


飛段が指を差す先には、俺の手
俺の手は真っ先に飛段の方に向かい、もう直ぐ届くという寸前で止まっていた


「・・・なんでしょう・・・」
「『なんでしょう』ってお前が言うかぁ?ゲハ!!お前面白い奴だな!!」
「どもっす」
「お前もさー、暁に入ったらよろしくな・・・」
「はい!!」
「・・・でも、さ。その時って、誰か暁メンバーが死んだときだよな・・・」
「そっすね〜」
「やっぱ死ぬんだな」
「そりゃ死にますっしょ皆一応人間なわけですし」
「・・・だよなーー」


飛段は廊下沿いにあったベンチに腰掛け、深い溜息をついた


「どうしたんです?」
「ん、やーよー、いつか皆死ぬんだなーってさー。ほら、俺死なねーから」
「ああ、聞いたことあります、不死身ってのは飛段さんでしたっけ?」
「そーだー」
「それって、角都さん見たいな『死ににくい』体ではなく『死なない』なんですか?」
「そうだーー、何が言いたい?」


怪訝な顔を浮かべ目だけで此方を睨んでくる


「俺ってさー、暁まだ入れないと思うんですよねー。もしかしたら一生?なーんて思うくらい、ココの人は強いですよ〜」
「逸らすな、だいたい暁のやつらは死なねーんだって」
「そうですね、それまでは飛段先輩が俺の場所っすね」
「どういう意味だ」
「だから、ですよ〜。今トビは今何処にも所属してない野良なわけですよ!!暁の人たちはみんな冷ややかなのに・・・飛段先輩は優しくしてくれるし〜懐いちゃった★」
「『懐いちゃった★』じゃねーよ!!テメーなに言ってるんだ!!調子こいてんじゃねー!!馬鹿トビ!!」
「ほらまた名前呼びましたー!!高感度アップで〜す!!野良は名前付けられると懐くんで〜す」
「(コイツうぜぇ)死ね!!」
「ひどいっす!!しくしく」
「しくしくって自分で声に出して言う奴初めて見た」
「飛段先輩に懐いちゃいました〜」
「うぜ!!離れろ!!この馬鹿!!」
「馬鹿はないっすよー、俺頭いいもん!!」
「もん、って。キモイ!!!!」


ギャーギャーと暫く2人でくっ付いたり離れたりしていたら流石に疲れてきて1度休戦ということでベンチに腰掛ける


「やだなぁ」とその最中飛段が何かを呟いた
「なんですか?」と聞き返したが、暫くショートしたように動かなくなってから現実の世界に戻されるようにこっちを向いて「何だ?」と逆に聞き返されてしまった


無意識だったのか・・・


「先輩」
「んー?」
「もしも、本当に仲間の誰かが死んだら。俺“暁”に入れるじゃないですか」
「んー・・・」
「そのときはよろしくお願いしますねー」
「ん」
「そうですね、メンバーになったあかつきには〜」
「・・・」
「聞いてます?」
「・・・」


それから何度か聞いてみたが、本人は上の空
ちっともこっちを見やしない
わかります、寂しいんでしょう?
どんなに強くったっていつかは死んでしまう
そんな現実を知りたくないんでしょう?


「大丈夫だ」
そう言うとピクンと飛段の肩が跳ねた
トビということも忘れただ飛段を抱きしめた
泣きたくても、泣けない。泣いたって意味もない
いや・・・泣くことも忘れたのか


「俺が暁に入ったら・・・

     ――その時はいっぱい泣いてくださいね」




君を見たい、君を知りたい
嗚呼哀れな哀れな救われない青年よ!!
お前とともに立つことへの俺の喜びを
お前は呪ってくれ、罵倒し激怒し。それでもいいんだ


本当のお前を、そんな些細なお祝いに
俺に頂戴。


END

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