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□汚い日記
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幸村くんは本当に素敵な人でした。大切で、きっとこれからもずっとそれは変わることがないと私は思います。
私は彼を好きで、彼もたまたま私を好きになってくれて、恋人になれた。一日一日が幸せで、これからもずっと一緒に居たいと私は思いました。




幸村くんはとても素敵な人だから、沢山の人に想いを寄せられていました。私は嫉妬なんてしません。してはいけないと思ったからです。
私はごくごく普通の…どこにでもいるような人間で、だけど幸村くんは王子さまみたいにかっこよくって、優しい。
はっきりいって私と幸村くんはお似合いじゃないのです。彼に想いを寄せる女の子達が「釣り合わない」と思うのはとても自然なことで、不満を抱くのも普通です。



私はよく女の子達に虐められました。日に日に身体に痣が出来てきて、幸村くんも友達も家族も、とても心配してくれました。心配をかけて、ごめんなさい。
ご飯も喉を通らなくなって、夜も眠れない日が続きました。だけど私は誰にも虐められていることを打ち明けませんでした。打ち明けられなかったのではなく、打ち明けなかったのです。

だって、女の子達の気持ちは十分わかるし、彼女たちのほうが私よりずっと可愛らしくて素敵。私なんかが幸村くんと付き合ってはいけないのです。


…だけど、ごめんなさい。幸村くんだけは、彼だけは譲ることができません。大好きなんです。彼だけなんです。渡したくない、譲りたくないんです。



幸村くんも、ごめんなさい。

私は、貴方がだいすきなんです。


これからもずっと、幸村くんだけ。



でも、もう辛いです。彼女たちの不満も、正しいけれど、もうだめなんです。…私は、頑張ることに疲れました。自分の願いを、想いを突き通し続けることに疲れました。
幸村くんを、これ以上愛せなくなる。嫌いになってしまうかもしれない。だったら、幸村くんを心からだいすきだと言える今、消えてしまいたいと思います。





ありがとう。


ごめんなさい。


だいすきでした。





―さよなら。
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