★筆頭と忍★
□encounter and destiny@
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ある夜、執り行われたパーティで2人は出会う―
*encounter and destiny*
(出会いと運命)
―…
小十郎に引っ張られながら連れてこられたパーティ。
正直、うんざりしていた。
纏わりついてくる女達の間をすり抜け、華やかなパーティ会場を抜ける。
やってきたのは、とある庭園だった。
近くにあったベンチに腰を下ろす。
それとほぼ同時に小さな溜め息がこぼれた。
「お初にお目にかかるでござる」
「…Ah?」
しばらく星でも眺めていようかと夜空を見上げていると、ふいに古風な口調の男に声をかけられた。
差し出された片手には、シャンパンが揺れるグラス。
なんのつもりだ?こいつ…
特に礼を言うでもなく無言でそれを受け取ると、一気に飲み干した。
ちらりと男を見れば、視線がぶつかる。
男の割と大きな目は、どこか幼さを醸し出していた。
お互い視線を逸らそうとはせず、時間が止まっているかのような錯覚に陥りそうで、俺から逸らしてやる。
すると、男は再びその口を開いた。
「隣り、失礼してもよいでござろうか。」
「…Han、Come on」
そう言うと、男は俺の隣りに腰を下ろす。
「某は、真田幸村でござる。貴殿は名を何と申すのだろうか。」
「伊達政宗だ。You See?」
異国語に一瞬首を傾げるが、自分なりに解釈したのだろう。
「承知した。では、伊達殿と呼ばせてもらうでござる。」
次の瞬間には、うれしそうにこう言った。
「Ah?堅苦しいな。もっとsoftにできねェのか?」
「…そ、そふと?」
「よーするに、堅苦しいのは止めろってことだ。政宗って呼べよ」
「…それでは、政宗殿と呼ばせていただくでござる。」
「OK…ιまぁ、少しはsoftになったんじゃねーか?」
苦笑いしている政宗をよそに、幸村と名乗る男は無邪気にほほ笑むのであった。
その晩は、2人で語らいあった。
お互い剣道をやってるなどの意外な共通点があったのだ。
2人は出会った…
そして、ゆっくりと運命の歯車が回り出す―