WEST
□第三十二幕
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実を結ぶことのできなかった山吹乙女と鯉伴の過去が明かされた
「そんなことが・・・」
「リクオ…もっとよく顔を見せておくれ」
「・・・」
「うり二つ…あの人に…妾に子が成せたならきっとあなたのような子だったのでしょう…」
「っ・・・」
「桔梗、ごめんなさいあなたにひどいことをたくさんしてしまったね」
それは違う、とでも言うように首を横に振る
「…いいんだよ山吹はなーんにも悪くない、ちゃんと分かってるよ」
山吹の手に己の手を重ねる
「桔梗は優しい子ね、あの一時はとても楽しかったありがとう」
つないでいない方の手で桔梗の髪をすく
「一つだけ聞いてもいい?」
「なに?」
「羽衣狐があたしの肝を食べなかったのは、あなたのおかげなんでしょ?」
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