戦国BASARA

□キミの幸せ祈るコトバ
4ページ/5ページ

『そーいう訳だから。お前は何にも心配要らねぇよ』
「ですが政宗様、小十郎は明日どんな顔をして会えばいいか」
『心配すんなって、親父も認めてくれたんだからよ』
「そういう問題ではありませんっ!」
明日、輝宗と顔を合わせた瞬間を想像しただけで顔から火が出そうだった。
『ま、両親も小次郎も元気で居てくれりゃ越したことはねぇが、俺はな、正直お前が居てくれりゃそれだけてall OK、happinessだよ、darling?』
そんな甘い言葉と共に、受話器の向こう側からチュッと耳許にキスをされた。
「政宗様…っ」
『早く帰ってこいよな〜、お前の好物作って待ってっから』
「はい…」
出張先で定期連絡として政宗に電話をする度、小十郎は付き合い立てのカップルのような気持ちになる。
こうして声を聞いているだけでも逢いたくて堪らなくて、ひたすら足の指をむずむずと動かしてしまう。
政宗とは恋仲になる前からの長い付き合いになるが、倦怠期なんて感じたこともなければ訪れる日が来ることも想像出来ない。
もし輝宗に反対されれば、小十郎は政宗と地球の裏側だろうが地の果てだろうが、迷わず高跳びしていただろう。
輝宗にも義姫にも恩も義もあるが、政宗ばかりはどうしても譲れない。
「政宗様、もし輝宗様に反対されていたなら、どうされるおつもりでしたか?」
『あン?そんなの高跳びに決まってンだろが』
「は、ははっ、そうですか」
小十郎は、思わず笑っていた。
やはり政宗は、生涯を賭して愛すべき御方、魂が尽きるまで愛し続けると誓った小十郎であった。
「土産に、ずんだ餅買って帰りますから」
『ん。早く帰ってこいよ。待ってるから』
「はい」
今度は、小十郎が受話器越しにキスを届けた。



<了>

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ