戦国BASARA

□風邪っぴきの恩返し
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「政宗様?」
その視線に気付いた小十郎が、サラダを盛り付ける手を止めた。
その武骨な手からは想像できない程に、小十郎が作る野菜や料理は凄絶に美味しい。
そのミスマッチも、政宗にとっては堪らなかった。
「小十郎」
「はい」
「ちゅき」
「はっ!!??」
「うおっ!」
瞬間、小十郎の手の中にあった自家製プチトマトが握り潰された。果肉が飛び散り、政宗の頬や小十郎のシャツの袖やエプロンを赤く汚した。
「も、申し訳ありません!ああ、顔にかかっちまった。失礼します」
小十郎は政宗の顔に手を添え、トマトの果肉がかかったところをタオルで顔を拭った。
「なにしてんだよ、小十郎」
「すいません。余りにも驚きましたもので…。心臓に悪いことをせんで下さい」
「あぁ?」
「まさかあんなお可愛らしい告白をして頂けるだなんて、不意打ちもいいところです」
モゴモゴと言い訳をしながらも、小十郎の口許が見る間に緩んでいく。
「なんだよ、結局嬉しいんじゃねぇか」
「〜っ、情けない顔してるんで、あんまり見んで下さい…」
病院の待ち時間、暇潰しにとたまたま読んだ女性誌に載っていただけで、気まぐれに試してみただけだったのだが、なるほど効果は絶大だったようである。
「バッカ、こんな機会滅多にねぇ。勿体振らずに見せろ」
「後生ですから、止めて下さいっ」
「減るもんじゃあるまいし…っくしゅ!」

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