戦国BASARA

□夏夜に謳えば
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「excellent!さすが喜多だ、相変わらず良い仕事をする」
勿論、政宗が気に入らないわけはない。広げた浴衣を幾度も反転させて、機嫌良く眺めている。
「お気に召して頂けたようで良かった。姉上もさぞ喜びましょう。それでは夜分、失礼致しました」
預かった浴衣を無事渡し、政宗が喜ぶ様子が見られた。使命を果たし、下がろうとしたそのときだった。
ぐいと着物の裾を取られた。
「おい、着せてはくれないのか?」
上目遣いの、唐突な質問。
小十郎はその視線に捕らえられ、立ち所に動けなくなった。
小十郎は己の背や額をつうつうと汗が流れ落ちていくのを感じていた。
「今夜は一段と蒸すな…」
殆ど汗をかいていないというのに、艶めいた声音でそう囁いて、政宗は己が纏っている着物の裾で小十郎の額の汗を拭った。
「政宗様…っ!」
気づけば、その腕を乱暴に引き寄せていた。噛み付くように口付ければ、待ち構えていたかのように熱く滑った舌が差し込まれる。
こうなってしまえば、お互いに灯った焔を止められようもない。
二人はもつれるようにして、その場に倒れ込んでいた。



「oh,なかなか盛大だな…」
「すんません…」
「まぁ誘ったのは俺だし、かなり燃えたしな…」
「ほんっと、すんません…」
「今は蚊帳の中だし、これ以上は刺されない。気にするな」
そう言って、裸の政宗が笑った。
政宗の足を拭いながら、小十郎は羞恥と謝罪で政宗の顔をまともに見られずにいた。
政宗からの色っぽい誘いにすっかり余裕を失った小十郎は、本能のままその場に押し倒してしまった。布団と蚊帳の存在を、すっかり失念して。

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