戦国BASARA

□雪見
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「おい小十郎、起きろ」
身体を大きく揺さぶられ、小十郎は夢の国から現実世界へと連れ戻された。
「まだ、起きるには早い時間かと思いまするが」
「目が覚めちまったんだから仕方ないだろ」
なんという言い分だと思ったが、政宗は相変わらずの傍若無人振りで小十郎を叩き起こすのに一生懸命だ。
「一体、何事です…?」
ベッドの真下に脱ぎっぱなしにしていたシャツを羽織り、のそのそと身体を起こした。
「見ろ小十郎、雪だ!」
「は…」
ベランダから見えた景色は、確かに雪化粧した街。昨日のニュースで今日は雪になると言っていたが、こんなにはしゃぐことなのかと小首を傾げた小十郎である。
雪は、生まれ育った地で死ぬほど見てきた筈だ。
「東京でも、こんだけ降るんだな〜」
そう言えば、政宗が東京で冬を迎えるのは今年が初めてだった。もしかしたら、東京は殆ど雪が降らないと思っていたのかもしれない。
「まぁ、シーズンに一回降ればいいほうですが」
「いいほうって。雪降るなんざ損することばかりだろ」
「子供は、喜ぶのではありませんか?」
「俺はもう子供じゃねえよ」
ぶっとと政宗が膨れ、そっと腕を絡めてきた。
「雪降ってるし、今日は大学行く気分じゃねぇな…」
「政宗様!小十郎の目が黒いうちはそんなことはさせませんぞ」
「わぁってるよ。ちょっと言ってみただけだろ」
またぶっと膨れ、渋々バスルームへ向かう。
そのとき、政宗の携帯が鳴った。

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