戦国BASARA

□永遠恋愛
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「十年に一度しか陸に上がれないだなんて、考えただけで恐ろしいな」
たまたま二人で観ていた、一昔前に話題になった海賊映画。
ヒロインの夫が敵に討たれて死に、十年に一度しか陸に上がれない呪いに掛かって海の底へ沈んでしまった。
結婚し立てで旦那が死に、呪いにかかって海の底に沈み、でも十年に一度だけ会える……。
小十郎は、隣に座る主をそっと窺った。
画面を見つめる横顔は真剣で、小十郎が注ぎ足したウィスキーにも口をつける様子すらない。
小十郎は自分の分のウィスキーをロックで作ると、それをちびちびと舐めた。
二人は言葉は交わさないままテレビの音と、時折混じる酒を作る時折音だけが部屋に響く。
喋らない政宗と、その空間の中で響く音がやけに居心地悪く思えて、小十郎はそれを掻き消そうと乱暴にウィスキーを煽った。
映画はクライマックスとなり、ヒロインとその夫が浜辺で別れの時を迎えようとしている。
これで、二人が再び会えるのは十年後ということになる。
「十年後でも、会える約束が出来るんだからいいよな…」
ぽそりと囁かれた言葉に、小十郎は酒を煽る手を止めた。
聞こえた呟きが余りにも心許なく、切なさに満ちていたから。
再びそっと覗いてみた主の左目からは、一筋の涙がつぅと伝い落ちていった。

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