戦国BASARA

□party closing
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たっぷりと沸かされた湯槽に肢体を沈め、政宗は大きく長い息を吐いた。
度重なる軍議の末、遂行された策略は大いに効を奏し、見事な勝ち戦と相成った。
伊達郡総出で鬨をあげ、一様に美酒に酔う。
また明日からは鍛練に次ぐ鍛練の日々に戻り、自分も政務へ戻らねばならない。
勝ち戦の高揚を沈めるように、政宗は熱く沸いた湯で顔を擦る。
こういう夜は己の意思とは関係なく、言い表せない高揚感に全身が包まれる。
やり場のない焦燥感に苛まれ、それを紛らわすかの如く、政宗はまた熱い湯で顔を擦った。
すると、湯殿の扉がかたりと鳴った。
「お背中流しましょう」
現れたのは、先刻まで背中を預けていた右目だった。
着物の裾をたくし上げ、準備万端の格好だ。
政宗は口角を上げると、二つ返事で湯槽から上がった。
「今日はサービスが良いじゃねぇか」
「たまには、と申しておきましょう」
小十郎が固く絞った手拭いで、主の背中を丁寧に洗い流していく。
人の手で洗われる心地好さに、政宗は自然と目を閉じた。
「あいつらはどうしてる」
「休む者もおりましたが、酒盛りを続けている者が大半でしょうか」
「今夜は随分とご機嫌だな」
「ええ。此度の戦は大層な勝ち戦でしたから。興奮覚めやらぬといったところなのでしょう」
「そういうことか…」
政宗は、小さく呟く。
確かに、此度の戦は類を見ないほどの勝ち戦だった。命の駆け引きの場に出、それを大勝利で納めたとなれば皆の喜びもひとしおであるのだろう。
それは解っているので、政宗も宴席を邪魔をするつもりは毛頭ない。

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