戦国BASARA

□春風翔る
1ページ/4ページ

青々とした草木は、いつ見ても心地良い。
今時期ならなおのこと、空の青に映え、互いの青を引き立てあっているようだ。
政宗は、お目付け役の目を盗み愛馬を走らせ、この小高い丘までやって来た。
奥州もやっと、春の息吹が感じられる時節となった。
深い雪に閉ざされる季節も終わり、これからまた、新しい芽吹きの季節に突入する。
それを直接肌で感じたくて、政宗はここまで来たのだった。
己が納める領地が一望出来る、この場所へ。
「んー…っ」
大きく伸びをし、肺一杯に澄んだ空気を吸い込んだ。
ここからなら、民が畑仕事に精を出す様や童達が無邪気に遊ぶ姿がよく見える。
その様子に、政宗は穏やかな笑みを浮かべた。
政宗はここまで走ってくれた愛馬の顔を労うように撫で、青く繁った新緑の上へ寝転がった。
熱く降り注ぐ太陽光と、ときおり吹き抜ける涼しげな風と。
政宗は、その心地よさに目を閉じる。
「こんな日に、政務ばっかりしてられるかよなぁ…」
「ほう、それは聞き捨てなりませんな」
「!?」
突然降ってきた言葉に、政宗は反射的に飛び起きた。
目の前には、仁王立ちを決めたお目付け役その人の姿があった。
「こじゅうろ…、どうしてここが」
「お頼み申した書はやりかけ、目を通すようにお渡しした書簡は未開封!一体どういうおつもりか」
政宗からの質問は華麗に聞き流し、放置した政務について問い質してくる。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ