Flower of the dream
□第二章 幼稚園
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なんとか幼稚園時代の三年間を乗り越えて、私は晴れて卒園することが出来た。
桜はまだ咲いていないが、入学式には満開だろうとお母さんが言っていたのを覚えている。
嬉しいけど
それだけではない。
「誠くん、苺たちは同じ小学校なのかな?」
卒園式の後に聞いてみた。
母親たちは二人で盛り上がっているので、まだしばらく帰れそうにない。
「わからないね」
「誠くんは別々がいいの?」
子供らしくあどけなく聞いてみる。
外見が子供の分、言い方にも気をつけなくてはならない。
「ううん、嫌だ」
「じゃあ、入学式まで楽しみにしておこうね」
お母さんに聞けば分かる。
そんなことは二人とも承知済みだった。
だけど、なんとなく楽しみにしていたかった。
「またね」
「またね」
幼い小さな手を振ってサヨナラの挨拶をして帰宅する。
また会えることを願いながら。
「苺ちゃんは誠くんと仲がいいのね」
母に言われた。
「うん、親友って言うんだって」
「そう。良かったわね」
それはきっと‘一緒の学校で”という意味合いも含めての言葉だろう。