Flower of the dream

□第二章 幼稚園
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男の子の名前は、誠(まこと)。
私はいつも誠と一緒にいるようになった。
誠は他の子と違い、大人しい子だった。
いつも絵本を読んでいたり、お絵かきをしていたりと室内で遊ぶ子。


「またそれを読んでいるの?」

私が教室で誠を発見した時、彼はまたこの間の絵本を読んでいた。

「うん。この話って面白いんだよ」
「そう?」

私は前にその絵本の題名を見て驚いたのを記憶しているから、忘れることはない。
その絵本の題名が‘花の使者”なのだ。

「この子って苺ちゃんに似ているね」

「そうかなぁ」

この子と言っているのは
絵本の主人公である花の使者。
似ているも何も、それは私自身かもしれない
のだから仕方がない。


「だってこの花とか同じでしょ?」

花――とは
私の手の甲にある刺青のようなもののことである。
刺青ではないのだが、花の使者は任期を終えて願いを叶えても
その証としてこれがおまけで付いてくるのだ。

「これは生まれたときからだよ」

なんとか言い返して見せるも

「でも同じだよ」

誠はちっとも聞いてくれない。


私は人見知りとかいうやつで
あまり他人とかかわろうとしなかった。
だから唯一の友達兼親友は誠しかいなかった。


「幼稚園ではどうなの?」

母に聞かれた時は冷や汗を掻いた。
だって・・・友達なんて誠しかいないから。

「えーっとねぇ・・・毎日が楽しいよ!!」

笑顔で私は母に嘘をついた。
楽しい。


それに偽りはないから。
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