Flower of the dream

□序章 始まりの命
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そうして私は民の願いを叶えるために
世界に降り立った。


あの花の樹を手に入れたと同時に
私は人々の願いを叶える為の力。
魔法を手に入れた。






それから何百年もの歳月を
私は‘花の使者”として過ごしてきた。
数えられない位の人々の願いの声を聞き、
私は魔法の力を使い叶えた。

戦争・反乱・天災。
そんなものも何回もこの目で見てきた。
その度に人々の願いは増えていく。

‘金持ちになりたい”‘思い人と一緒になりたい”‘あの人を甦らせてほしい”



何回も何人も・・・疲れ果てるくらいに叶えてきた。




「あ、あと一つ分だ」


それに気がついたのは
私があの白い空間から出発してから約千年の時が流れていた。

「花の使者様?
どうか私の願いを聞き届けてください」

あぁ。
このお決まり文句を聞くのも今回で最後だ。
やっとだ。
やっと叶うんだ・・・私の願いが。

「あなたの願いは?」

私が最後に降り立った地は――日本とかいう国だった。

「私は子供が欲しいのです。
あの人との子供が・・・普通ではムリって分かったので」

その願いを聞いて
これ以上に打ってつけのものはないと思った。

「わかった。
でも私の願いも聞いてくれるかしら?」

「はい?」

私の願い・・・それは・・・。
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