放課後教室

□トラウマ
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「え!?」
 一人ポツンと取り残された威が、驚きの声を上げるのを背後で聞きながら、追いかけてこられないように歩く速度を上げる。

 行き過ぎるサラリーマン達を見ると、じわじわと汗ばむ季節になっていたが、体がすぅっと冷えていくのがわかった。
 全く知らない男が傍に寄ってきた時など、寒気がした。
 あの日から心穏やかに生活できたことなどない。なんとか学校には行っていたが、犯行場所が自らの教室だと言うこともあり、居心地がいいとは言えなかった。

「葉!オレもこっちから行く」

 駆け足で近づいてきた威に一瞥をくれ、歩くスピードを速める。

「なぁ!なんか怒らせるような事したか!?」
「…いや」
「亜矢子の事か?あいつの事で怒ってるのかよ」

 しつこく付きまとわれた上、全く関係ない名前まで出され、イラッとして怒鳴り返す。

「関係ない!もういい加減にしてくれっ!!」

 どんっと威を突き飛ばした瞬間、世界が回って暗転した。
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