海にトリップ

□侵入者
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「帰らないと…」こんな処にはいられない!!
言争う2人に気づかれない様にそっと部屋を出た□□は左右を指さし悩んだ


「どっちよ…右?左?」


運命の分かれ道…。


右を見ればどこまでも続く廊下…そして部屋だと思われるドアがびっしりと並んでいる。
一方、左はというと…

「あはっ!!長い廊下…ここは鏡の世界かっっ!!」どちらも先の見えない長い廊下が続いていた。

「決めた!!左で」確信なんてない…自分の勘を信じるのみ!!□□は長く続く廊下を走り始めた。
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「はぁはぁ…」
長いのにも程があるんじゃないの…。部屋以外の処もあったけど…外に出れそうな処は1つもない。


必死に走る□□の前に今まで見た事のない大きなドアが見えた。
重くなった足も期待で速くなる…。

「はぁはぁ…これ…かも」

ドアの手前で止まり、あがった息を整えながら微かに隙間から洩れる光に確信した。このドアの向こうは
外だと…。
ドアノブに手をかけ、ドアを押した。

“ギギィ―”


「眩しい…」


久々の太陽の光に□□は目を細めた。手で顔を覆いながらゆっくりと瞼を開けるとそこには青い空に、白い雲…カモメが優雅に空を飛んでいた。


「外だ!!これで…っ!?」


喜びを表現した高らかに上げた両手が固まった…。

“お、女だ…  ナースか?  いや、見たことねェ…  なんで女が…”
目の前には大勢の男達が見た事のない女の姿に皆、驚きを隠せない表情をしていた。



「「・・・・」」
「えっーと…し、失礼しました。」
“バタン”


------3秒後------
「キァーーー!!」
“ドタバタドタバタ”
「「「待ちやがれっ!!侵入者だぁ!!」」」

□□の勘は当たっていたが、運がなかった様だ。やっと外へと通じるドアを見つけた□□は、今まで走って来た長い廊下をものすごい速さで逆走した。


「「捕まえろー!!」」
「ひぃ――!!」


まだ何もしてないじゃない!!いやいや何もしないけど!!ただちょっとここの人パイン呼ばわりしただけですよ。
それに…手に握りしめているあの光輝く物は剣なの…。うそ!?銃も持っているじゃない!!


「銃刀法違反でしょっ!!」殺られるっっ!!


「見〜つけた〜!!」
「はうっ!?」
必死な形相の□□の前にヘラっと緊張感のない顔で現れたのはサッチ


「さ、サッチさん助けてぇ〜きゃーー!!」


追われている恐怖から走る足は止められず、助けを求めながらサッチの横を横切った。


「□□ちゃん? “ドタバタドタバタ”へっ?…ぶへっ!!ぶほっ!!」


“何か踏んだみたいだ   気にするな!!   それより女を見失うな!!”

気にしてあげて…今踏みつけたのはお宅のサッチさんですよ。
それより…
「このー!!役立たずーー!!」少しは時間稼ぎとかできないのかっっ!!


もう、限界…。これ程までの猛ダッシュをし続けた私を誰か褒めて欲しい。
捕まってしまおうか…と限界のあまり□□の頭にはネガティブ思考が過った。


「「あっ!マルコ隊長!!侵入者です!!」」


えっ!?マルコ!?何処??
追われる□□の数メートル先にはふわふわと髪を揺らすパイン頭


「パインっ!!た、助けて!!」


あぁ゛っとマルコが機嫌悪そうに声を荒だてたのが聞こえた。
だって、仕方ないじゃないっ!!つい口から出ちゃったもの!!

助けてと必死に走る□□にマルコは呆れ顔を見せたかと思うと、妖笑を見せ両手を広げた。


「・・・・」
それは飛び込んで来いってこと?


考える暇はない様だ。背後からは追ってくる男達の距離は着々と縮まってきている。
あぁーなるようになれと残りの体力を振り絞り両手を広げるマルコの処まで走ろうと決めた。


「はぁはぁマ、マルコー!!」
“ドンっ!!”と逞しい胸の誇りに飛び付き腕を回すと、同時にふわっと□□の背中にマルコの腕が回された。


「ククッ…捕獲だよい」


心配するな取って喰ったりしねェーよいと頭上から聞こえたが、うそつけ!!と反論する声も出せないほど□□は息が上がり、睨む事しかできない…。ニヤリ笑うマルコに悔しい気もするが、重い足…苦しい呼吸…なぜか落ち着いてしまうマルコの胸に回していた腕に力を入れ、息を整えるまで躰を預けた。


ぜいぜいと肩を上下させながらギュッと抱きついてきた□□が疲れて躰を預けているだけだと分かっている…だが口先が自然と緩むマルコは□□の頭に顎を置き、抱きしめて離さなかった。




(マ、マルコ隊長!?その女は?)
(あー俺の…(お、俺のだっ!!ぜぃぜぃ)ちっ!!)
(サッチ隊長!?どっどうしたんっすかっ?その顔…)
(テメェらなぁ…)

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