海にトリップ

□マーメイド!?
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「はじめまして!!可愛い可愛いマーメードゥーちゃん!!」



「ゴボッ!!ゲホッ!!……は…い??」






なぜに私は半裸で、知らない男の膝の上でお風呂に入っているのか…。なんだこの金髪ヤローは…。いきなり目の前に男が現れた…いや、いきなり現れたのは多分…私の方だ…。


さっきまで海に居たはず…。いやっ!!海に居た!!そして溺れた…。


とりあえず…聞いてみようか…マーメードゥ〜と歌いだすこの男に…。


「あっあの〜…すいません…」歌い続ける男…聞いちゃいねぇー!!


「す、すいません!!こ、ここはどこですか?」先ほどよりも大きい声でMyマーメードゥーGET〜!!と興奮気味に叫ぶ男に聞いてみた。その声には反応してくれた。悪い悪い、興奮しちまってとヘラっと笑う男はがっちり私の腰を掴んだ。



「ここは、白ひげ海賊団の船の大風呂だ!!」



大風呂ね…。風呂は見てわかりますとも、そこじゃない引っかかったワードは…

   白ひげ…。



えっーと…
聞いたことはある…。
読んだ事もある…。





そんなバカな…。









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数時間前、私は結婚を約束した男に振られました。しかもメールで…。あり得ないっ!!そんなに短い付き合いじゃなかったはず!!
すぐに電話かけても拒否だし!!この年で捨てられても困る!!


「無責任っっ!!」


ぶつけ様のない怒りにルームウェアで飛び出し、家にでも押しかけてやろうと車を走らせた。

運転している間に、直接別れようと言われたら、きっと耐えきれない。時計を見れば日付も変わりそうだし…迷惑かもと、冷静になりつつ自分がいた。

気づけば海沿いを走っていて…。独りさびしく海でも眺めようと海へと向かった。

煙草を片手にテトラポットに座った。波の音だけ聞こえて、暗くて海なんて見えなかった。

「あんたなんかっ…さっさと忘れてやる!!」

薬指に常につけていた指輪を抜いて、振りかぶって投げた…が、そう言ったのは口だけで捨てる気のない体は指輪を離さなかった。
そして勢いよく振りかぶった腕につられて私は落ちた。

暗くて…上も下も分からなかったが足が底に着いた時、ザクッと足の裏に何かが突き刺さった。声もあげれない痛さで深いと直感でわかった。

本当にやばいと手を海面だと思う方へ伸ばした途端、ボォッ!!と手のひらから青い炎が上がった。それを見て私は残り少ない貴重な空気を口から漏らしてしまった。


そして朦朧とした意識の中、体に何かが絡み付いた…。

この目の前に居る金髪ロン毛男が引き上げたんだろう…。誰だ!?こいつ!?


なぜ半裸なのか…あぁーそうか海に落ちたと同時に着ていた服がすっぽ抜けたのかぁーっと納得し、ポンと手を叩いた。



「青い炎ねぇ…そうか…」
「…そうなんですよ…はっ?」
うんうんと頷く男は振られちゃったのか…よしよしと頭を撫でる。



頭の中で回想していた私は声にも出ていたらしい。



「怪我って言ったな!?見せてみろ!!」と風呂の淵に座らされ、足を掴みあげられた。頭の中は知らないけど…本当はいい人かも…。

「どこにもねぇーぞ…」
「うそ…」

確かに何かが突き刺さった…。突き刺さったと思う足の甲を見ても傷一つない…。

「おかしい…んっ?」考え込んでいた私は気づいた…。
男は掴んでいた足の裏に腕をまわし、がっちり私の両腕を掴んでいた。わぁ…ベストポジション!!って違うっ!!


「傷ついた心を忘れる為には、新しい恋でしょ!!」さも、いいこと言いました、っていう顔やめてよ!!恋どころか、すっ飛ばして、やる気でしょっ!!この体勢は!!


「ひゅ〜いい眺め!!」半裸を隠せる腕は掴まれている…。少しでもいい人と思った私がバカだった…。



只今…私、貞操の危機です。


まぁ処女じゃないけどね…。
そう思ってしまうほど危機迫るものがある。
「ぃや、いや…お、落ち着いて…」まず落ち着こうじゃないですか?おにーさん!!

「何週間…何週間、我慢してたと思ってんだ!!」そんな事、私が知るわけないでしょ!!

「俺の願いが叶ったんだ…風呂でマーメードゥーちゃんが泳いでいるなんて!!」いやいや泳いでいません!!溺れていたんですよ!!

待ってたとウルッと目に涙を溜め出した。
「どれだけ女に飢えているのよっっ!! 」離して!!ともがくがびくともしない。

しまいには神様ありがとうぅーー!!叫びだす男…。神に女を願ったのか…この男は…。

もう駄目だ…何も聞き入れちゃくれない…。
「いただきま〜す!!ぶほっ!!」もう…はいどうぞ…とでもいってしまいそうだ…。

ドンと胸に落ちてくる頭…。「どんだけがっつ…いて…んっ…!?」
動かない男の頭に目を向けるとかかと落としが綺麗に決まっていた。



「青い炎を見たって?」大丈夫かよぃ…ほらと手を差し出された。
「……前隠して…」言わなかったけど、金髪ヤローも堂々と…どれだけ自信があるのよ!!


「ククッそれは悪かったねぃ」変なもん見しちまって…。

「あー本当に…」その手を掴むと、グイッと引き上げられた。


大きい手…


太い腕…


逞しい胸板…??
「ぅ、うそ…こ、ここに…この刺…は…」
人を指さしちゃいけません!!と躾けられましたが…。
お母さんすいません…。驚きで指しちゃいました。



「んっ?これはオレの誇りだよぃ」確かめるかのように男の顔を見上げた…。



心臓が口から出そうとは言うが…私の心臓はそのまま胸を突き破り、意識失った。



そうだった…。
金髪ヤローのお馬鹿な行動の所為で忘れていた…。



ここは白ひげ海賊団の大風呂…。

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