105短編

□birthday
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「マルコ!!ハッピーバースデイ!!」
ドンと勢いよく開いたドアを見れば、何かを抱えて笑顔のサッチが立っていた。


「寝みぃーよい…」


昨日は徹夜で昼まで寝ようと決めていた俺は布団を引っ張り上げ顔を隠した。
サッチはそのままでもいいから聞けとやけに楽しそうな声がする。


「今晩は、マルコの為の宴だぞ!!」


今日は10月5日オヤジが決めてくれた。俺の誕生日…。
この歳になって祝われるのはうれしくもないが、自分の家族に祝われる…それは気恥かしい事だか、やっぱりうれしいものだ。


「で…なんの用だよい」


重い体を起こせば、おっ起きたか!!とサッチは抱えていた物を机の上に置いた。


「マルコは何が食べてぇー?」


サッチが聞いているのは、宴の料理の事だろう…分かっているが…何喰いてぇ?ってそんなの決まっている…。今一番喰いてぇもんって言ったら…


「□□が喰いてぇーよい…」
「うんうん…□□が喰いたいと…」


ポケットからメモ帳を出しペンを走らせるサッチ。


「ぶっっ!!□□はやらねぇって言っだろ!!」
「ちっ!!」


何言ってんだ!!危うく□□を調理するところだっただろ!!と紙に書いた□□の文字を乱暴にかき消した。

これだっ!これっ!!と机に置いた物をバシバシ叩く。

それに目を向ければ分厚い紙の束…一番上には“サッチ様の宝物”と書いてある。
パラパラ捲り中身を確認すれば、今まで上陸した島の絶品料理を事細かに書いてあるレシピの束。


「すごいねい…。」


いつもは女のケツしか追っかけてない男だがやる事はしっかりしている。流石白ひげの4番隊隊長といったところか…。


「好きなの選べ!!」
夜までまだまだ時間があるからな!!と言うが徹夜をした俺には文字が書いてある紙は当分見たくなかった…がにこやかに笑うサッチに任せるとも言えず、分かったと承諾した。
また来るとサッチは部屋を出て行った。


「さてぃ…がんばるかねい」



------10分後-------



…限界だよい…目が痛てぇ…。半分も読んでもいないレシピの束を机に置き背伸びをしていると、部屋のドアが開いた。


「んぁー!!疲れた!!この船広すぎよ!!」
「・・・・」
「ふぇっ!?マルコさん?」


サッチさんに何かご用ですか?と聞く□□にここは俺の部屋だと言えば、うそっ!?と部屋を見渡し、また迷ったとガックリうな垂れた。


「□□…まだ部屋覚えられねぇのかよい?」
「うぅっ…部屋が多いのよ…」


□□は2.3日前にサッチが風呂で引き上げた、異世界から来た女。(サッチいわくマーメイドらしい)なんでもニホンと言う所から来たという。聞いた事のない島の名前…信じられねぇだろ…。見た目は俺好みのイイ女…それなりに男を知っているだろう。性格はサバサバしているが俺やサッチには気性が激しいうえに口が悪い(俺をパイン呼ばわりする) そのギャップに短時間でハマった俺…1人の女に夢中になるなんて俺自身信じられねぇ…。
だが、この船では宝だろうが女だろうが見つけたら、見つけた奴の物。勝手に手出しはしてはならない…。

まぁそれには手は打ってある…実行するのが楽しみだ。


「何、それ?」
「あぁ…料理のレシピだよい」


料理!?と目を輝かせる□□は気持ちいいくらいによく食べる事が分かった。今晩何が食べたいとレシピの束を渡せば、パラパラめくりこれもおいしそう、こっちも捨てがたいと悩んではページを捲っていく。想像しているのか、時々幸せそうな顔をする□□。それを横で見ているだけで自然と口緩む…。


「今日も宴なの?」
「あのよぃ…俺の誕生日なんだよい…」
「えっ!!そうなの!?」


それじゃ私が選んでも意味ないじゃない!!とレシピをまた前に置かれサッチ同様さぁ選んで!!と急かしてくる。
さっきも言ったが…徹夜でもう限界…。それを□□に伝えれば一緒に選んであげると椅子を横に並べた。


「アラバスタ料理かぁ…食べてみたい…よね?」
「よい…よい…」


さっき眺めていた顔が一層近くなった…時々クスクス笑う□□に年甲斐もなくドキッとする。今回の航海は長くて今だに陸には着かない。マルコ隊長は理性的だと言われていても俺も男だ。


「ねぇ、これなんて…「俺は□□が食べたいんだがねい」」
「ふんふん…私を食べ…はぁ!?」
「・・・限界」


その危機を感じたのか椅子を倒して立ち上がった□□はジリジリとドアに向かって下がっていく。その動きが可愛くて俺は楽しみながらゆっくり追っていく。

逃げ場のない壁と俺に挟まれ、血の気の引いた顔にまだ□□の中には俺が居ないと確信するが、そんな事関係ない…。俺は海賊だから、欲しいものは必ず手に入れる…。


「□□…」
「なっなによ!!」
「ヤらせろよい…」
「ヤらっ!?・・・マルコさん」


俺のシャツの手を掛け、お誕生日おめでとうございますと潤んだ瞳と□□の甘えた声に俺の理性を吹っ飛ばしたが…これは私からのプレゼントという妙な笑顔と同時に下腹部に衝撃が…見れば綺麗に□□の膝がめり込んでいた。
ふざけんなっ!このパインっ!!□□の捨て台詞が聞こえたかと思うとバタンとドアが閉まる音も聞こえた…徹夜で疲れているとはいえ女の蹴りで蹲ってしまうなんて情けない。
しかも女に膝蹴りされたのは初めての経験だ…。


「くっ…効くよい…。」


それでも愛おしいと思ってしまう俺…どうしちまったんだ。




(マルコ決まったか?)
(あぁ決まったよい)
(□□の躰に生クリーム塗りつけて舐めまわしてやるよい)
(それから、プレゼントは□□がいいねい)
(まずは、□□の事を頭から離して考えようか…)


Marco Happy Birthday 10/5

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