「Angel's wing」


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次の日も掃除と洗濯。私にはそれしかすることがない。夜になり沖田さんが帰って来てから近藤さんのレストランに行った。



中に入ると眉を下げ心配そうな近藤さんの姿。沖田さんが“どうしたんですか”と声を掛けた。



「それがな、ツネがぎっくり腰になってしまってな…治るのに三週間かかると医者にいわれて…どうしようかと思ってるんだ。」



「バイトを探すってことですか?それなら丁度いいのがいますよ。役に立つかはわかりませんけど。」



私は視線を感じて沖田さんに顔を向けると、[役に立ってよ?]という表情で私を見ていた。



『えっ…私ですか?私で出来ることならお手伝いします。料理できないですけど…』



人の為に何かするのはすきだけど私でも大丈夫なのかな?少し心配で近藤さんの返事を待った。



「本当かい?そうしてくれると助かるよ。注文をとったり料理を運んでくれるだけでいいんだ。」



そういう近藤さんはさっきまでと違い明るい表情で私の手を握り“よろしく頼む”と何度も頭を下げた。



私みたいな役に立つかわからない人に頭を下げる近藤さんの誠実さに心が温かくなった。



“近藤さん。こき使ってあげてください”聞こえた言葉は意地悪だったけど顔を見上げれば近藤さんを見つめる優しい翡翠色の瞳があった。



「じゃあ、今日は好きなのを御馳走するよ。」


「『ありがとうございます。近藤さん。』」



重なった声に驚いたけど沖田さんは気にもせず近藤さんに顔を向けていた。



ここにいる時の沖田さんは初めてあった時の印象とは違う。



あんなに優しい表情をするんだから沖田さんは近藤さんに【愛】を持っていると思うけど、私が沖田さんの相手になったということは愛を知らないという事…



愛と優しさは似てるもの…どこが違うのかな…そんな疑問を持ちながら沖田さんを見つめていた。




家に帰ってお風呂から出てソファにいくと毛布がなかった。



「羽央ちゃん。こっちへおいでよ。」



そう呼ばれて寝室に行くと肘をついた手で頭を支えて横になってる沖田さんがいた。



“どうしたんですか?”と聞くとベットの空いてる方をポンポンと叩いた。



「ここで寝なよ。ちゃんと寝ないと近藤さんの所で使い物にならないでしょ?」


二人掛けのソファで丸まって寝てたからあまり疲れがとれなかった。大きなベットは広いし気持ち良さそう…



『いいんですか?』


「いいよ。でも寝相とか悪かったら許さないよ。」



沖田さんの目が一瞬ギロッと光った気がした。でもきっと大丈夫なはず…ソファで目が覚めても寝た時と同じ体勢だもの。


『大丈夫です。』


私は大きく頷いてから沖田さんの隣に行くと“はいどうぞ”と沖田さんが布団を持ち上げてくれた。そろそろと横にもぐりこんだ。



足をのばしてもゆったりなベッドにふわふわした布団。中は沖田さんが入ってたから暖かくて気持ちよかった。



『おやすみなさい。』


「おやすみ。」



左側にいる沖田さんにそう言って仰向けだった私はうつ伏せになって目を閉じた。ベッドって気持ちいいな…



天使は背中に翼があるから寝る時はうつ伏せ。いつもみたいに胸に圧迫感がある方がよく眠れる。



ソファより寝心地がいいベッドはすごく気持ちよくて私はすぐに眠りに落ちた。


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