拍手小説
□商品企画(名前変換なし)
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『それじゃあ、来週の同じ時間に…』
次回の予約を入れた私は、軽くなった体を感じつつコンビニに向かった。
いつものように缶コーヒーとスイーツを買おうとして飲み物が並ぶ前に立つと何だか違和感。
目がいったのはゲームのキャラが書かれた缶コーヒー。その視線の強さに思わず手に取ってしまった。
缶コーヒーはどちらかというと色でイメージを作るデザイン。会社ごとメイン商品は色が固定されているものだ。
そんな中でキャラの描かれていたデザインは際立っていた…メーカーを決めてない人なら思わず手にとってしまう。悔しい…
だけどその思いは、私の会社のものじゃないから…ではない。
私の好きな薄桜鬼は乙女ゲーム。缶コーヒーは男性客がターゲットだから、こんな風に缶コーヒーのイラストにはならない…
それが悔しい!
でも、なんとかならないものか…私は必死に考えた。
まず、女性が買う飲料…きっとお茶系なら可能性はある。でも、あからさまに表にキャラのイラストがあったら男性客は引いてしまう。
何かいい手はないかな…
表に薄桜鬼とロゴだけいれて…ラベルの裏にイラストを入れたらどうだろう。
そうすればどのキャラか分からないから、くじ的になって、売れ残りキャラが出なくなるし、興味のない人は気にせず買える。
イラスト…既存のものじゃ、ファンは納得しないかな…新しいイラストみたいよね…
個人的には艶があるものでもいいと思うけど、大人から子供まで飲むお茶じゃそれは無理。
お酒だと缶か瓶…ラベルの裏は無理だしなぁ。
でも、書きおろしじゃコストが掛りすぎて却下は目に見えてる。
台詞を変えるのか妥当か…パターンだけ増やせば、コンプリ狙う人はたくさん買ってくれるはずだ。
24本で段ボールに入れられるけど中はランダムというより偏りを出して、簡単にキャラを集められないようにしよう。
これで、きっと売上は二割増し…
今年はアニメの放送もあるし、来年は映画も公開される…この企画が通るとしたら今年か来年しかない!
企業は儲かる見込みがあれば絶対作る!
これ、企画に出してみよう…私はそう心に決めて家へと帰り、パソコンで企画書を作成した。
終わる頃には、肩がパンパンに…
それでも彼女は満足そうに頷くと商品ができあがった姿を想像し、嬉しそうに笑った。
一人の熱い情熱が商品をつくりあげるのです──
→あとがき